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JGAP寄稿者短信:「『成長したい』なんて言っているヤツは絶対に成長できない」藪内さん顔.jpg

学生とかに多いと思うんですけど、仕事を通して「成長したい」って言うようなことを考えている方って比較的多いと思うんですね。

が、ぼくはこの言葉、絶対に信用しません。というか、この言葉を聞いただけで、話す気がなくなります。


個人的な意見ですが、この言葉って全然論理的でないと思うんですね。今回はそんな話を少しできればと思いますが。


理由①:そもそも「成長したい」なんて思って成長できるもんじゃない
ぼくは常々、「生きていくにはメタ化が必要」だと言っています。

分かりやすく言えば、「自分を更に上から俯瞰して、客観的に見る」ことですね。

自分の立ち位置を冷静に把握して現状を確認する、とかの際には、こういうことが割と大事になってくると思うんです。


ただ、いわゆる「成長したい」って時には、自分をメタ化してはいけない、と思うんですね。


例えば、仕事で関西に出張に行くとしますね。

で、プレゼン資料はパワポでパソコンに作っておいたはずなのに、新幹線の中で確認しようとしたら、どうも保存できていなかったようで、資料がない。

こうなったらちと焦りますよね。


こういう状況だと、列車が関西に着く2時間ちょっとの間で、どうするかを考えないといけないわけです。

資料を作り直すのが1つですが、作った「はず」の資料と全く同じものは作れないかもしれません。だから、幾分か簡略化したものを作る、というのは解決策のひとつです。


もう一つは、パワポを使わずにプレゼンをする、というものです。ワードで資料を作るとか。


とりあえず、結構テンパった状態の中で、時間とリソースの制限を抱えながら解法を見つけ出す必要があるわけですね。


で、なんとかして解法を見つけて、プレゼンを終えました。


今回の反省として、「作った資料は予備をUSBメモリに保存して持ち歩いておこう」とか、それなりに次に繋げられるようにするわけですね。(まあ、普通予備のデータはどこかに保存していると思うので、この例はあくまで例え、ということで...)


で、仮にもう一度似たような状態になった場合に、今度はきちんとリカバリーできて、ダメージが少なかったとします。


これこそを「成長」と言うのではありませんか?


パワポ資料でなくてもいいんですが、例えば取引先から急な依頼の変更があった、とか、納期変更の相談を受けて、プロジェクトチーム内でベストの解決策を考えないといけなくなった、とか、いろいろとあると思います。


こういう時に、結果振り返ったときに「あの経験はこれからはしたくないけれど、あれがあったからこそ強くなった」みたいなことが、仕事でもなんでも、あると思うんです。これこそがいわゆる、一般的に言われる「成長」であって、それはいわば、「したくてする」ものじゃないと思うんですね。


というのも、仮に「成長したい」という気持ちが最初にあれば、こういう「予期しない出来事」に対する対策はある程度考えられているわけで、トラブルが起こったとしても「それなんて予想範囲内だよね-」とか言って、「プランA」を発動すればお茶の子さいさいで、解決できるワケなんですよ。


でもそれって、そもそも「予定の範囲内」での出来事なんで、緊急事態に面して、自分の頭をフルに使って解法を考える、ってことをしないわけで、そもそも「成長」なんかにならないわけですよ(笑)


っていうか、最初からそれができるのであれば、「成長」なんて言葉は使わないと思いません?だって「やれて当たり前」なんですから。野球で、1アウト1塁で4番バッターを迎えたときに、シュート回転したボールで胸元を突いてゲッツーを「きちんと」取れるワケです。それって単に、「最初からレベルが高いだけ」ですって(笑)

普通は同じ状態で、ピッチャーもキャッチャーも必死になって、配球を考えたり投げる球種を考えたりするわけです。最初は緊張もあって大変だったけど、だんだんと配球も組めて、ゲッツーを狙って取れるようになった。これこそが「成長」です。


②「成長」の基準値と目標値が分からない
「成長」には、必ず「ベースの値」と「目標の値」が付いてくるんですよ。

例えば、国の経済成長率だって、基準となる年月があって、比較する年月の指標があるわけです。

すごく簡単な話、身長の伸び縮みだって、「160cmから3cm伸びた!」という風に、「基準値」と「目標値(結果値)」があるわけです。

別に比較するものは数値じゃなくてもいいんですが、「成長したい」って言っている人は概して、基準値も目標値も、はっきりとしていないことが多いですね。(まあ、そういうことは人様にわざわざ言うもんじゃないのかもしれませんが)

まあ、キャリア数年の人が、例えば仕事の効率化や年収アップ、異業種に参入して汎用的なジョブスキルを別の世界で使ってみる、という風に考えるのは、ある意味「成長志向」だと思いますし、これは「今の自分」という基準(収入、業務効率etc)がある程度数字で表されるのでいいとは思うんですが、キャリアゼロの状態で「成長したい」なんて言っても、ちょっと現実味が少ないかな、というのが個人的な印象です。だって、仕事一年目だったら、大学時代と比べて収入は大きく上がりますから、この数字だけを見ると放っておいても「成長」するわけですし(笑)、業界や仕事のことも「基準」が自分の中にないので、比較のしようがないんですよね。


だから、というと変かもしれないんですが、「仕事を通して成長したい」って人は、「何をどう成長したいのか」ってことを、きちんと言語化したほうがいいです。きちんと考えている場合はいいんですけど、言語ができないのであれば、それは考えていない証拠です。


藪内達也
英日翻訳家


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プロフィール:
藪内達也/英日翻訳家(観光翻訳)/翻訳×デザイン×Webのフリーランスネットワークを構築して、仕事製作中/現在は奈良を拠点に複数の仕事作り/「自分の人生の舵は自分で取る!」がモットー
詳しくはブログで(自分の考え方や哲学等について書き連ねています)

No17:「海外での出会いと発見が、僕を変えた」藪内達也さん(当時、神戸大学国際文化学部4年) -エッセイ集 フロンティア・フォーラム欄寄稿(2011年12月9日) http://japangap.jp/essay/2011/12/4.html

ブログ:Live my OWN life
http://tatsuyayabuuchi.blogspot.jp/

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