ギャップイヤー・ジャパンからのニュース・お知らせ

ギャップイヤー経験をした22人のフロンティア(先駆者)からのメッセージを読み解く
 2011年夏からスタートしたJGAPのエッセイ欄「フロンティア・フォーラム」( http://japangap.jp/essay/ )には、2年足らずのうちに現在100稿を超えるエッセイが掲出されている。そこで、サンプリング的に、その中の22人の寄稿者から、国内外のギャップイヤーや海外に飛び出すことに関して表現・記述されている箴言(しんげん)を拾ってみた。そこから何を読み取れるか。現役高校生やその親御さん、そして先生方、最後に同世代の大学生の皆さんと、共有したい。
 キーワードは「自分の頭で考えること」と「自分の行動は自分で決める」、つまり主体性の大切さだと考える。(時系列・肩書は掲出当時)
JGAP総研客員研究員 藪内達也

「人には一日24時間しかない。この時間をどうやって使うかは私次第、あなた次第だ。そしてこの24時間のサイクルは毎日続くが、いつどのタイミングで終わりが来るか分からない。だからこそ、やりたいことはやったほうがいいし、夢中になれるものがあるならそれに突き進めばいいと思う」
濱田真里
早稲田大学教育学部社会科社会科学専修5年/世界を舞台に働く女性のリアル情報インタビューサイト「なでしこVoice」代表
「海外で働く日本人女性50人のインタビューをして想ったこと」(2011.10.24)
http://japangap.jp/essay/2011/10/50.html

「たくさんのものを見て、たくさんの人に会って、たくさん考えることで、視野は広がり、新しい世界が開けてきます」
もりぞお
アジア就活中(2011年11月現在)
「なぜ、私は大企業を辞めて、世界一周旅行なのか?」(2011.11.15)
http://japangap.jp/essay/2011/11/post.html

「悩み続けることは悪いことではない。ただ、動き出すことを恐れていては何もなせないことを私はこの旅でひしひしと感じている。なぜならば、行動を起こすことでのみ、「社会を変える」ことは始まるのだから」
八木駿祐
関西学院大学総合政策学部4回生(休学中)
「"社会を変える"に出逢う旅の半年記」(2011.11.29)
http://japangap.jp/essay/2011/11/post-2.html

「闇雲にレールから外れることを勧める気はないですが、求めるものがあるなら、今の状況を飛び出すのも選択肢の一つとなります。リスクは、把握できればそう怖いものではありません。不安なら「体験」から入るという手もあります。即海外移住ではなく、まずは旅行から、という風に」
秋元悠史
海士町・島前高校魅力化プロジェクト及び隠岐國学習センタースタッフ
「なぜ、私は新卒で就職したIT企業を一年半で飛び出して、島根県・海士町に移住したのか?!」
(2011.12.08)
http://japangap.jp/essay/2011/12/it.html

「大学は"最低4年で卒業できる"ものであって、"4年で卒業するべき"ではないということです。もしかしたら海外に出てみると"4年で卒業するべき"は非常識であるかもしれません。最低4年だと思うと、人生を楽しむためなら1年くらい遅くなっても良い気がします。休学してもよいし、他のきになる勉強をするために留年してもよいし、海外に出てみてもよいし、国内を旅しても、インターンシップしてみてもよい。1年もあれば、多様な事ができます」
杉山佳範
大阪府立大学大学院理学系研究科2年(休学中) 情報数理科学専攻 知識システム研究室
「常識を打ち破り、選択しろ!」(2011.12.14)
http://japangap.jp/essay/2011/12/post-6.html

「大切なことは、自分の心に従い、自分で考え決め、そこで何をして見て学んだかだと思います。生き方は十人十色。自分の生き方を考え、最高の人生を選び、創って下さい」
豊田浩樹
日本大学文理学部4年
「3大学8年"寄り道"重ね、私は教師になります」(2011.12.30)
http://japangap.jp/essay/2011/12/post-8.html

「「決まったレール」は自分の思い込みで、実際は自分から動けば、いくらでも自分で「人生のレール」をひくことができる」
豊永奈帆子
早稲田大学国際教養学部4年
「留学で変わった私の人生」(2012.1.19)
http://japangap.jp/essay/2012/01/post-9.html#more

「ギャップイヤーというのは手段であって、目的でも目標でもありません。まずは自分のやりたいことを探し続けること、これを怠ってはいけません。(中略)本当にやりたいことを探し続けること、そしてやりたいことを見つけた時に、実現できるように自分を磨き続けること、この二つがとても大切です」
太田英基
サムライバックパッカープロジェクト(世界一周中)
「起業・退職し、"五年後の描いた自分"に近づくための旅」(2012.1.24)
http://japangap.jp/essay/2012/01/5.html#more

「別にオランダに来る必要はありません。ですが、せめて選択肢として日本の大学以外も考えていて欲しいと思います。英語がちょっとできて、面接で自分の勉強したいことを語ればそれでいいんです。留学に関して「入るのが難しそう」「学費がすごく高そう」という神話はそろそろ捨てて、情報を集めてみませんか?(中略)やりたいことを住みたい場所でできてもいいと思います。日本に居続ける必要って、特に何かありますか?」
五十嵐彰
University College Utrecht Junior(オランダ)
「僕が立教辞めて、オランダの大学に編入したワケ」(2012.2.2)
http://japangap.jp/essay/2012/02/utrecht-junior.html

「最初の海外や一人旅は、深く考えず、ガイドブック片手に"えい!"ってチケット家って飛び出しちゃって下さい。人生変わります。」
青木優
明治大学国際日本学部4年(休学中)
「約7ヶ月の世界一周を終えて」(2012.2.15)
http://japangap.jp/essay/2012/02/post-12.html

「日本特有の『右にならえ』という精神が強すぎて、日本人は自分と向き合う機会が少ないように思う。だから一度今いる場所から離れてみて、真剣に自分と向き合ってみてはいかがだろう。離れてみることによって、自分がどういう場所にいたかが分かるし、外から今までの自分を見つめることができる。Gap Yearは、そのためのすばらしいきっかけになるはずだ」
成瀬勇輝
早稲田大学政治経済学部5年
「"インターネット的"に生きてみる」(2013.3.8)
http://japangap.jp/essay/2012/03/post-14.html

「刺激の少ない日本の"空気"に流され、本質を掴めなくなるのではなく、世界の"風"を感じ、能動的に自らを高めることが何より必要だと信じている。(中略)変化を恐れず、まずは"えい!"と世界に飛び出してみてはどうだろうか。出て何をするかは皆さん次第。出た暁には、日本では知りえなかった新しい「世界」が待ち受け、何かを学ぶことができるはずだ」
黒住宗芳
オックスフォード・ブルック大学(立教大学経営学部3年休学中)
「僕が休学して留学したワケ〜日本の"空気"ではなく世界の"風"を感じよう!」(2012.3.23)
http://japangap.jp/essay/2012/03/post-17.html

「可能性は自分で広げていくものだと思っている。小さい枠に捉われず、外に一歩を踏み出していくことが大事ではないだろうか。今回の留学もそうだが、もし車椅子を使わなければ来られなかったと思う。しかし、うまく使えば、今こうやってひとりでイギリスで一人でも生活できている。最初から"僕には無理"ではなくて"どうすれば可能になるか"を問うことが大切だと僕は思う」
寺田湧将
関西学院大学社会学部4年=休学中
「障害者である僕に未来はない、可能セもない。僕は自分の人生を諦めているんだ...」(2012.4.2)
http://japangap.jp/essay/2012/04/post-21.html

「一年間卒業を遅らせることで、失うものは少なくない。多くの人にも迷惑をかける。しかし、もし自分が心の底から挑戦したいと思えることがあるならば、周りの人の理解に感謝して、一歩を踏み出すべきだ。そこまで意を決したものであれば、"休学"を選択するのも悪くはないと今は考えている。」
宇佐美峻
慶應義塾大学3年=休学中
「私が"スポンサー"をつけて、1年間世界を旅しようと思った理由」(2012.4.26)
http://japangap.jp/essay/2012/04/1-3.html#more

「周りがこうだから自分も、ではなく、きちんと自分の頭で考え、出した答えに素直に従った方が公開しません。もし自分のやりたいことをするためにギャップイヤーを取る必要があるならば、迷わず取るべきです。そこでたとえ満足いく結果が得られなかったとしても、一歩踏み出してチャレンジしたという実績が自分の中に残ります。それは次に何かをなす際の糧になると思います。
水野真吾
青山学院大学 国際政治経済学部4年(米国カリフォルニア州サンディエゴに私費学部留学)
「やりたいことを思い切りやる〜留学で考えたこと」(2012.6.1)
http://japangap.jp/essay/2012/06/post-26.html

僕は、自分のcomfort zoneの外に踏み出すことを、今の若い人にも恐れないでほしいと思う。快適さの檻(おり)に閉じこもっていては体験できないことを、失敗や挫折も含めて積極的に体験して欲しいと思う。そして、そこで自分の信念を育(はぐく)み、思考や感覚を研ぎ澄ませ、自分という存在を深く知り、のちに自分が望む舞台で人生の勝負をして欲しいと思う。
やす
シンガポール在住
「若者はcomfort zoneを越えよ!〜彼女の葬式で自殺を考えた人間が、北米白人社会に挑戦しながら思ったこと」(2012.7.5)
http://japangap.jp/essay/2012/07/comfort-zone.html

「一度何かにチャレンジして、その可能性を実感したら、また次何かに挑戦したいと思える。一度この好連鎖を経験したら、きっとこの良い循環から抜けるのが惜しくなるだろう。目の前の、どんな小さなチャレンジだっていい。この勇気を出してチャレンジ→大きな可能性を見るサイクルを経験することに意味があると思う」
松井鈴果
早稲田大学政経学部3年
「失敗や間違いが怖いアナタへ〜通学からのNGO活動、留学、そして世界一周〜」(2012.7.21)
http://japangap.jp/essay/2012/07/ngo3american-university.html

「自分の直感に素直に従ってみることだと思います。何かを始める敷居はとにかく低く。(中略)すべては自分が始めないと始まりません。気になった者はどんどん手を出して、その中から継続できるものを見つければいいんです。
前田健太
岡山大学経済学部経済学科4年生。ニューヨーク州立ストーニブルック大学に交換留学中
「二週間の"サンフランシスコ語学留学"をきっかけに変わった自分」(2012.9.1)
http://japangap.jp/essay/2012/09/ny.html

「2年間の専門学校で学んだこと、3年半の社会人生活で学んだことは決して無駄にはなっていないと思っています。それは旅をしていて常に感じるので、人生においての"寄り道"はやっぱり重要だな、と思います。そして、寄り道のタイミングは可能性のある若いうちがいい。できれば20代」
江里祥和
世界一周中
「日本ではリスクが高い"ギャップイヤー"について思うこと」(2012.10.28)
http://japangap.jp/essay/2012/10/post-33.html

「行動でしか、人は行きたいところには行けない。そして行くと決め行った先に、自分には予想もできない「出会い」が待っていて、次の行動に導いてくれる。それが宝物なのだ」
村上由里子
青年海外協力隊としてアフリカのルワンダに派遣中
「Design Yourself.あなたの色で、あなただけの色を〜アフリカでゲストハウスを造る私が、こうしていられる3つの理由」(2012.12.11)
http://japangap.jp/essay/2012/12/design-yourself.html

「とにかく若者は絶対日本の外に目を向けたほうがいい。それによって見えてくる世界、形成される世界観というのはきっと将来役に立ちます。物事を考える上で、思考のバックグラウンドは広く、深いほうがいい。より相対的に、より多角的に、より柔軟に考えることができるから」
小山修平
eConnet Japan(株)代表取締役
「海外を旅し、世界を知り、日本を外から見ることの大切さ」(2013.1.1)
http://japangap.jp/essay/2013/01/post-39.html

「日本での"普通"のは当たり前だけど、他の国では"普通"とは限りません。先入観という殻にこもるのは、もったいない。本当にやりたいと思うことがあって、覚悟があるなら、どんどん挑戦した方がいいです。決めるのは自分。納得した答えなら、どんなに辛い時も力が湧いてくるし、その結果、誰かにもきっと役に立てる人間になれるのだとそう信じています」
八田飛鳥
インドで起業準備中
「今日が、人生最後の日だとしたら、あなたは今日と同じを生きたいですか」(2013.1.22)
http://japangap.jp/essay/2013/01/post-42.html

※肩書きは全て、エッセイ掲載時点のものである。

 まず、100を超えるエッセイは、それぞれに素晴らしく、是非全編読んで楽しんでいただきたい。今回ここに延べ22人の国内外のgap year taker(ギャップイヤー取得者)や海外留学者のメッセージを紹介したことに過ぎない。彼らの取得時期や背景は、それぞれで大きく異なっている。大学在学中に取った人も入れば、仕事を始めてから取った人もいる。そして彼ら・彼女らが口を揃えて伝えたいのは、「自分の頭で考えること」と「自分の行動は自分で決める」ことの重要性と言えるだろう。周りの状況がどうなっているか、ではなく、自分が主体的に疑問に思うことや行動したいという気持ちを、彼らはそれぞれ内に抱え、自らの人生を切り開いてきた。
 このことは、日本の高校までの教育で沁み付いた「人と違うことをするとリスクが高い」という教えと対極をなすものだろう。今や、インターネットを使えばあらゆる情報を手にすることができ、それらを消費することで疑似体験をして満足を得られる時代になっている。しかし、ここに載せたフロンティア達の実体験というフィルターを通した言葉には、その一言ずつに重みがあり、説得力がある。これからギャップイヤーを取得する人たちや海外留学希望者に向けて、その珠玉の言葉が後押しを手助けするものであってほしい。もちろん、その先には、社会が「空白」と最初からステレオタイプにネガティブに捉えるのではなく、親元や教員の加護からすり抜けて、国内外に飛び出す経験から何を得たかに真摯に耳を傾ける寛容な精神と環境が必要なのは言うまでもない。多様性とはそういうところから生まれるものではないだろうか。