代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「Design Yourself. あなたの色で、あなただけの絵を~アフリカでゲストハウスを造る私が、こうしていられる3つの理由」村上さん写真JGAP.jpg

村上由里子(JICA青年海外協力隊 ルワンダ駐在)

「人と同じ」は大嫌い
 昔から「人と同じ」が大嫌いだった。ただなんとなく選ぶのは面倒だし、そっちにいっておけば安全、というような、 意思の感じられない「人と同じ」が嫌いだった。

 だから私は、大学生になって、人とは少しだけ違う学生になろうと思った。サークルやバイトや合コンや、それに明け暮れる日々も悪くない。でも、そうではなくて、「私」という道を、大学生活の中で作ってみたかった。だから留学したり、フィリピンでボランティアをしたり、環境問題が気になりだして、極寒の北極の海で泳いでみたりなんかもした。今思うと、ただのミーハーとしかいいようがない。とにかく楽しい大学生活だった。


就職活動に超違和感
 そんな私が、本気で決断を迫られた時があった。世に言う「就職活動」である。
今までは学生のノリというか、失うものはない、という気持ちからか、好きなことを自由な気持ちでやっていられた。しかし、その時ばかりはそうはいかなかった。

 「人と同じ」が嫌いな私にとって、就職活動は苦痛だった。
皆黒いスーツをきて、皆同じような質問をされ、皆同じような経験を語る。巷には、「面接にはこう答えるのが正解だ!」みたいな本まででている。それを平然としゃべれるようになっていく人たちの姿を見て、私は圧倒的な違和感を覚えた。でも、そうなっていくことが正解なんだと思っていた。特に理由もなく。だって、皆そうなんだもの。気づけば私は「人と同じ」ことに慣れてきていた。

 では、私はそのまま就職したのか?いや、しなかった。結局私は、青年海外協力隊という道を選んだ。そして今アフリカ、ルワンダで、ゲストハウスを作っている。何が一体どうなって、こんなことになっているのか、何が私を変えたのか、今日は少し書いてみようと思う。私を変えたものは3つだ。原体験、行動、そして出会い。


原体験
 私にはどうしても忘れられない体験がある。それは、大学1年生の時に訪れたフィリピンでのこと。そこで一人の少年に出会った。彼に私は夢を訪ねた。彼はこんなことを答えた。「僕夢を持てないんだ。学校行ってないからさ。どうせ叶わない」この一言は衝撃だった。返す言葉が見つからなかった。

 私は今でも彼のことを考える。考えるたびに胸の奥が少し痛む。私が就職活動中に考えたのも彼のことだった。私は日本で生まれて大学まで行った。そんな私が、なんとなく"流れ"で就職するなんて許されるのだろうかって。そしてもし、またこの世界のどこかで彼にあった時「夢を叶える可能性は誰にでもある」って背中を押してあげられる人間になれるのだろうかって。このまま自分のやりたいことに向き合わずに?あの日フィリピンでできなかったそれを、私は自分の人生で語れる人になりたかった。


行動
 そんな原体験があることに気付いてから、私は"就活"の全てをすっぽかして、自分に向き合う時間にした。でも答えなんて一向に見えてこなかった。そして気付いた。もうこれは「動く」しかないんだよな、と。そこから一気に動き始めた。とりあえず、正月早々バングラデシュに向かい、グラミン銀行でインターンをした。帰国して、バングラデシュ関連の一冊の本を読んだ。

 「裸でも生きる」マザーハウスというバングラデシュでジュート(麻)の鞄を作っている会社の社長・山口絵理子さんの自伝だった。まだ本も読み終わらないうちに、私はマザーハウスの本店に行った。そこにいた店員さんに、「ここでインターンさせて下さい」と言ってみた。そしたら本当にできるようになった。マザーハウスのインターンを終えて、私の心は決まっていた。やりたいと思うことをやってみよう。違ったらそこで考えよう。そういう人生にしよう。

 その時、私のやりたいことは途上国にあった。途上国でビジネスをしてみたい。その答えの先にあった手段が青年海外協力隊だった。協力隊としてルワンダに来て、Deoという現地人に会った。彼はゲストハウスを作ろうとしていた。建設中の彼のゲストハウスがとても素敵だったので、そこに私のやりたいコンセプトをのっけて、一緒にやってみないかと聞いてみた。答えは「Yes」。こうして「ルワンダの素敵を見つけるゲストハウス、Rwiza Village」のプロジェクトが始まった。


出会い
 とかなんとか書いていると、私はまるですごい行動力のある人間なんじゃないかと自分でも思えてきたが(笑)、そんなことは全くない。家でゴロゴロしているのが大好きな人間だ。行動したことは事実だが、私が私の力で行動したのは最初の一回だけ。その他の行動をできるようにしてくれたのは、1つ1つの「行動」の先にあった「出会い」だったからだ。ある人は私にきっかけをくれ、ある人は私の先を走り、ある人は私を叱ってくれ、同時に私の背中を強く押してくれた。その出会い一つ一つに向き合っていたら、私はこんなところにいたのである。そんな一人一人に本当に感謝している。

 行動でしか、人は行きたいところには行けない。そして行くと決め行った先に、自分には予想もできない「出会い」が待っていて、次の行動に導いてくれる。それが宝物なのだ。


自分自身をデザインする
 原体験、行動、出会い。どれが欠けても今の私はあり得ない。慣れない国で、やったこともないことをやっているのだから、壁にばかりぶつかるが、それでも、私はこれからもこうやって生きてきたい。

 最後に、バングラデシュ、グラミン銀行で出会ったモハメド・ユヌス先生(ノーベル平和賞)から頂いた言葉を紹介して終わろうと思う。

「Design Yourself」

人生はデザインできる。あなた自身もデザインできる。真っ白なキャンパスに絵を描く時のようにわくわくした気持ちで、私の足で前に進んでいきたい。


<プロフィール>
村上由里子 聖心
女子大学 英語英文学科卒業
現在、青年海外協力隊としてアフリカのルワンダに派遣。現地人と「ルワンダの素敵をみつけるゲストハウス Rwiza Village」オープンの準備中。

※Ready For 挑戦中 ご協力よろしくお願いします。
https://readyfor.jp/projects/Rwiz_Village

ブログ「C'est la Vie 絶対に夢を諦めない私の日記」
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Twitter:@yrk1014
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