「私が"スポンサー"をつけて、1年間世界を旅しようと思った理由」
宇佐美 峻
慶應義塾大学3年(休学中)
スポンサー募集も「自分にとって厳しく、高い壁に挑むこと」でしかない
私は大学3年時を休学して、1年間世界を旅するために日本を飛び立った。そして、その資金繰りのために大学2年生の10月ごろからスポンサー探しの活動を行い、複数の企業や個人から支援してもらっている。私は貧困やボランティア、国際問題に大きな関心を持つような学生でもなければ、自分探しの旅をするようなタイプでもない。
私が、1年間の旅に出ること、そしてその資金繰りのために、自分のやりたいことを理解し応援してくれるスポンサー募集活動を始めた理由はどちらも同じである。
それは、「自分にとって厳しく、高い壁に挑むこと」であり、心の底からワクワクした。
"ワクワク感"が自分を突き動かす
小学生のころから高校まで12年間、ずっとサッカー部に所属していた。私にとっては受験勉強や学校の授業と別に、「サッカー」という自分が戦える明確な対象が常にあった。
高校までサッカー部の中からしか外の世界を学べていなかったので、これまでとは違う場、違った視点から、社会のことや、生き方、人間関係など様々なことを学んでみたいと思い、大学ではサッカー部には入部しなかった。
大学のようなオープンで自由な環境では、学べる場はいくらでもあるだろう。部活動、サークル、アルバイト、学生団体、インターン、ボランティア、資格勉強などなど。大学という有り余る時間をどこに割くかは人それぞれであり、どれを選ぼうとも、その時間を貴重で、学びの多い、楽しい、有意義な場にすることはできる。しかし、そのような有意義な場にするには1つ条件があるのではないかと思う。
それは、「自分がそれに本気で挑戦できること」
本気になれるワクワク感がすべての源泉!
何をしようとも、全力でやらなければ得られるものは少ない。中途半端な心意気で活動していては、たとえ何をしていようとも、その時間は「有意義な時間」とはなりがたい。その自分を本気にさせる要因が「ワクワク感」であると思う。そして、私にとってはこの全力でやりたいと思えるものが、良くも悪くも「旅」であった。
「旅」が自分にとっての挑戦の対象であることを知るのには紆余曲折があった。
自由な時間を持つ大学生活を、有意義な時間にするため、私は入学当初からこの「本気になれる対象」を探し回ったが、サッカー部の頃のように本気になることはできない。
そんな時に、私は初めて海外に行き、1人旅をした。そこで今まで自分が感じたことのないマイノリティーを受け、日本とは全く異なる文化や風習を感じた。人やモノ、景観、慣習などすべてのものが作用して醸し出される、日本とは違った国に身を置くことは私にこの上ないワクワク感を与えてくれた。
「もっといろいろな世界を感じたい」
旅には適齢期があると言われるが、私は20歳とまだ社会のことも大してわかっていない。今だからこそ感じることができる「旅」をしたいと思った。そうして考え始めた1年間の世界旅。海外経験にも乏しく、人間的にもまだまだ未熟な自分にとって1年間の世界中の旅は大きな挑戦であったため、恐怖感はあったものの大きなワクワク感を感じた。
スポンサー集めというあらたな挑戦
しかし、旅立つ前から、必然的に資金という壁が立ちはだかる。1年間旅するために、半年以上もアルバイトだけの生活にするなんて全く面白くない。この先の人生で、1年間の旅をすることは恐らくない。ということは、1年間旅するための準備期間も2度と味わえない。
じゃあ、この旅の準備期間も"短縮化"して、自分にとっての意味のある有意義な時間にしたい。そうして、考え付いたのがスポンサーを集めるということだった。
「スポンサーってなんだろう?どうやって集めるのか?」何の突出した才能もない、どこにでもいる大学生に、スポンサーなんてつくのだろうか?雲を掴むような話でもあるし、懸念はあった。全くもって未知の世界だ。しかし、だからこそ大きなワクワク感を感じたのかもしれない。
結局、多くの方の協力もあり、複数の企業、個人の出資者が集まった。残念ながら、日本にいる間に全額をそろえることはできなかったが、ブログなどを通じて、現在の旅中も募ることができたらと思っている。
私はこのスポンサー活動を通じて、今まで見たことがなかった"つながり"のある社会の姿を見たし、その中で私を応援してくれる人に、たくさん出会えた。この人たちのご恩返しのためにも旅を最高なものにしたい。そしてその旅の経験を活かして、自分も誰かの役に立てるような人間になりたいと考えている。だから、スポンサー募集活動をする前には思ってもみなかった感情も乗せて、今は旅をしている。
休学の捉え方
最後に、「休学」のことに触れておきたい。学生の私にとっての挑戦の対象が1年間の旅であったため、休学という選択肢を選ぶことになった。「休学」をするという選択をすることは、自分にとってもリスクを伴い、決して軽いことではない。「休学」を選択するには相当な覚悟が必要だと思っている。「学生のうちの1年間なんて長い人生で見れば痛くもないよ」という人もいるが、私はそうは思わない。1年間卒業を遅らせることで、失うものは少なくない。多くの人に迷惑もかける。しかし、もし自分が本当に心の底から挑戦したいと思えることがあるならば、周りの人の理解に感謝して、一歩を踏み出すべきだ。そこまで意を決したものであれば、「休学」を選択するのも悪くはないと今は考えている。
プロフィール
宇佐美 峻
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