代表ブログ Jギャップは社会変革のイニシャル!

※→BLOGOSにも転載。1月18日現在13,000PV(閲覧ページ数)超え、ツイッターRTは両者で400件を超えている。


「"シューカツ"ルールを変えよう」が話題に
 ソニー(株)の2013 年度新卒採用のサイトがネットで話題になっている。

 それは「"シューカツ"ルールを変えよう」という刺激的な大きな見出しで始まる。「ソニーは、本質を求めてやまない、強烈な目的意識。その結果、人と違うものができる。それが新しい価値を生む。ソニーは、そうやって新しい商品を世の中に送り出してきた」
「一人ひとりが輝く個性を発揮し、自分らしさを素直に表現してほしい。(中略)多様な人材がいるからこそ、イノベーションが生まれると考えます」

ギャップイヤーを評価する記述
 他のページに眼をやると、「型にはまった選考スタイルを変える」「多様性が新たな商品・サービスを生み出す」「服装の自由」などの文字が躍る。簡単にだまされてはいけないと次のページに移る。

 少し引用が長いが重要なので、原文に忠実にたどる。「職業選択の自由。人生選択の自由。」の見出しで始まるページでは、「学生というラベルがなければ、"シューカツ"のレールに乗れない。"シューカツ"を続けるために、就職留年や大学院に進学する。就職を選択する自由を得ようとすると、人生の選択肢が狭くなる。これでは本末転倒ではないでしょうか?」

 全くそのとおりで、主要企業にはもっと早く気付いてほしかったと思う。そして次になんとギャップイヤーの要諦が記述されている。
「学生時代に精いっぱい勉強し、楽しみ、人生の進むべき道について自分の頭で考える。学校を卒業してから、海外の大学に留学する、起業する、海外の企業でインターンを経験する、家業を手伝う、世界を旅する、人生の選択肢は無限にあります」
 まるで、ギャップイヤーの勧めだ。

大学卒業後の"武者修行"を評価する
 まとめは「ソニーは、様々な選択肢を歩んだ人たちと出会えたらと考えています。新卒採用においては、在学中の学生および卒業後3年以内の方を対象としています。就業経験の有無は問いません。卒業後の武者修行、歓迎します」

 つまり、去年の3月に卒業して、ギャップイヤーとして被災地にボランティアや限界集落にインターンに行っていたり、海外に語学留学していても、2013年3月末時点で最終学歴卒業後3年未満の場合なら、エントリー可能となる。

決して「絵に描いた餅」にしてはならない
 元旦にBLOGOSに掲出して、大変な反響を呼んだ「日本再生の基本戦略にギャップイヤーが入った!」でも書いたが、もう一度繰り返す。
 「"産"は、代表格の経団連がギャップイヤーの重要性を6月16日の『グローバル人材提言』で明記している。『絵に描いた餅』に することなく、末端の各企業の人事責任者・採用担当者にいたるまで浸透させてほしい。また、他の主要経済団体も順守して、変化したポイントのフォローアップも必要だ」

採用者のプロフィール公表は「企業の社会的責任」
 ソニーの今回の「就活ルールを変えよう」という宣言は、ギャップイヤーの多様性を評価し、多くの若者を勇気付けるものであり、賞賛したい。他の大企業にも、従来の金太郎飴のようにステレオタイプな人材の評価システムの在り様を変えるインパクトがある。だからこそ、実際どのようなバックグラウンドを持った人材を採用したか、個人情報に関わらない範囲で是非公表してほしい。閉めてみると、結局採用大学は従来とおりで、よく観ると中高一貫校卒で自宅通い、すべてストレートの学生ばかりだったでは洒落にならない。ここまで大きな宣言をすると、採用者のプロフィール公表は一種の"企業の社会的責任"だろう。それが、大学の下級生の背中を押し、果敢なチャレンジへの動力源になる。

ソニーの「大学生の起業」推奨は評価すべきで、採用人事改革は本気と観る
 最後に、このソニーの「就活変更宣言」で見落としてはならないのは、「起業」を評価していることである。いわば、大学生が株式会社やNPOや社団・財団を立ち上げることを推奨しているとも読める。これからの企業は既存のビジネスを伸ばすことや守ることよりも、BOPマーケットを中心に、新しい地平を求める、あるいはマーケットをこじ開けることが主眼になるはずである。ソニーが大学生の「起業」まで承認している姿勢は高く評価してよいのではないか。ソニーは外資比率が高く、もはや単純な日本企業ではなく、トップは会長兼社長 CEOのハワード・ストリンガー氏だ。採用は"投資"であり、このような革新的な採用人事改革をトップが感知しないはずはない。だから、私は本気と観ている。

 多くの日本人は、iPodやiPhoneが上市された時、ソニーがかつて世界を席捲した「ウォークマン」を連想した。なぜ「ソニー」ではないのか。今回の新しい人材評価宣言を契機に大きなイノベーションを起し、あの高揚感をもう一度日本にもたらして欲しい。

※ソニーの「2013年度新卒採用サイト」

 


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