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「実は中国でもギャップイヤーが"クール"と人気!~73.3%の大学生がギャップイヤーしたい(Sina.com ネット調査)」


ウェブサイト(bestarticlepost.com)が中国のギャップイヤー事情をフォーカス
 「上海大学で経営学を専攻する2年生の女子学生・陳さん(19歳)は新学期(セメスター制)になってもキャンパスに戻らず、ギャップイヤーで、チベットへの旅に出る」
とその記事は始まっている。

 「大学生活は高校時代とあまり変わらない」と彼女は続け、「バーンアウト(燃え尽き症候群)を感じ、勉学に身が入らない。だから1年休学して、フレッシュな情熱を取り戻した後で復学したい」と言う。

 日本と同じようなことが中国にも起こっている。換言すれば、中国でもギャップイヤーが学生にとって魅力ある選択肢になってきている。もちろん後に専門家が指摘するように、有益だが導入にはいくつかの大きなハードルもある。

 1929年に発行の名門紙「新民晩報」によると、Sina.comが実施したオンライン調査で、なんと中国人大学生の73.3パーセントがギャップイヤー体験を望んでいることがわかった。つまり、「大学生の4人に3人」が希望というのは、同じ調査はないが、日本より明らかに高い数字であろう。この調査結果に対し、温州大学学生課は、理解を示す。「この2、3年を観察しても休学が増えている。理由は卒業後の起業の準備や長期の旅行するため。一時的に大学での修学から離れようとしてとしている」と説明する。

 北京師範大学に通う2年生も、ギャップイヤーで1年オーストラリアに行った。そこでワーキングホリデーをしていた。彼はギャップイヤーのお陰で、大学に復学してから研究を大きく高められたと言う。


英字紙が「中国版ギャップイヤー」特集~人気の理由は"Cool !"
 探してみると、中国の代表的英字紙チャイナ・デイリー紙(5月18日付)も、生活面で「中国版ギャップイヤー」を特集していた。
ギャップイヤーは、西洋では大学入学直前か卒業直後であるが、「中国版」は、学生時代はその概念を知らなかったり、費用が捻出できないので、大学卒業後数年働いてから取得するものと伝えている。ある青年は、3年間フィルム・メーカーに勤務後、2010年末にワーキング・ホリデー・ビザを取得し、ニュージーランドに旅に出た。2009年当時は、まだ多くの人はこの制度を知らなく、簡単に取得できた。しかし最近は人気が上々で、その取得は年間千件のビザ枠があることも手伝い、大変らしい。

 ニュージーランドは"ギャップイヤー体験者"にとっては"あこがれ"の地だ。中国本土の住民に対し、唯一就労ビザを認めているからだ。1日14時間、イチゴやリンゴなどの加工工場で働き、それでしっかり当座の生活費や旅行費を稼ぐ。そして工場で働くことの単調さ・無味乾燥さを異国で知ることになる。中国に帰国してからは、新しい仕事を得て昇進するものいれば、結婚を機に辞めていくものもいる。いずれにせよ、大学卒業後就職し、数年後にギャップイヤーを取ることは、中国では"カッコいい(cool)"と思われている。成功とは金銭や昇進ではなく、"自分が本当に望むものへの希求か健康的に暮らすこと"だとギャップイヤーの非日常な経験を通じて悟る。

 ただギャップイヤーは中国にとって新しい概念なので、美化してしまう懸念があると専門家は警鐘を鳴らす。たしかにギャップイヤーは楽しいし、冒険であり、多くの出会いも発見もある。しかし、帰国後、職探しやカルチャーショック、想定外のできごとの遭遇など困難性を伴う。ボランティアやインターンシップ・プログラムとして旅行会社にふっかけられることもある。ギャップイヤーはゴージャスな旅行ではなく、親元と教員から離れた"社会修行"と思ったほうがよいとアドバイスする。また1年に限らなく、3ヶ月でも2年でもよい。ある若者は中国国内にいる障がいを持ったホームレスを忌避していた。しかし、ギャップイヤーでインドのホスピスにインターンとして赴(おもむ)き、重度のやけどで顔全体が動かない、口が唯一わずかに動く患者をケアして、帰国後モノの見方が変わったという。

 中国の若者が"ギャップイヤー経験"を通じて、より成熟した"オトナ"になり、各種スキルや耐性も身につける。つまりギャップイヤーが若者の人間形成に貢献すると、高等教育周りの"人材育成機能"として捉えられはじめている。その様子が見て取れる、そんな二つのメディアの特集ではないだろうか。

日本の大学に「入学延期制度」の確立を!~「休学」でのギャップイヤーは例外的・副次的と捉えるべき
 最後に、冒頭の「休学」してギャップイヤーを取得するのは、日本の形に近い。これは欧米とは違い、基本的に大学に「入学延期(deferred entry」制度がないためだ。休学でのギャップイヤーは本来例外的・副次的(休学しなくても、学部内で数ヶ月のギャップイヤーは取得可能)であり、制度の「未発達」ゆえ起こりやすい現象ともいえる。大学学部内で学業を分断しての休学取得より、高大接続ポイントや卒業から就職・起業のタイミングでのギャップイヤーが本来のもので自然だ。また、よくギャップイヤーは制度ではないという人がいるが、deferred entryという制度があるから、ギャップイヤーが圧倒的に成立しやすくなる。そのため、JGAPでは東大も検討予定らしいが、大学に半年か1年の「入学延期制度」導入を提言している。

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