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"大卒3年以内の新卒扱い"を企業は徹底しよう!~「2012年度マイナビ既卒者の就職活動に関する調査 結果報告」を読み解く

※この記事はBLOGOSにも転載されています。→http://blogos.com/article/48620/

「未内定既卒者」の調査は興味深い!
 16日に発表されたマイナビの 「既卒者の就職活動に関する調査」は、興味深い。この結果を取り上げたメディアは、「既卒者の内定率は23.6%と低調」「就職先が決まるまで就活継続86.5%」「卒業後に志望企業が変化した割合は6割」といった見出しが多い。

 当該調査の実施期間は今年8月後半から約半月で、ウェブのDMで有効回答数625人を得ている。文系・理系、男女比、地域などアンケート回答者の属性構成比率が実際の属性比率に合うよいに「ウエイトバック集計」もされているので、信頼性も高いと考えられる。尚、ここでいう"就活"は「企業へのエントリーやセミナーに参加等の活動」と定義している。


現在既卒者の15%は大学時代は"就活"は行っておらず、そういう層が存在する多様性を認めるべき
 大学学生時代に就職先を決めず(あるいは決められず)、卒業した「既卒者」と呼ばれる大卒未就労者が継続している就活が透けて見えてくる。

 マイナビの総括コメントはそちらを読めばわかるので割愛するが、私が注目したのはまず、在学中は活動せずに卒業後に活動を開始した既卒者が今回の調査では15%もいたということだ。試験中心の公務員志望の人やなんらか資格取得をめざしていたり、また自分を見つめ、スキルや実力向上のため、社会体験・就業体験を積んでいたというギャップイヤー経験中の若者も含まれるだろう。ストレートで脇目も振らず、小中高・大学、そして就職まで、"寄り道"どころか"よそ見"もなしに"ところてん方式"で社会に押し出す従来の「大量生産・大量消費型」採用や"新卒至上主義"の人事採用、そして人材評価システムは、現在のグローバルで多様性に満ちた国際経済社会に対応できていない。

 だから、人事部より先に感性豊かな学生達がそれを気付き、極度の新卒至上主義に違和感を覚え、金太郎飴のようなキャリアでなく、自分らしい生き方・働き方を模索したとしても全く不思議でもない。また、人間の成長としても個人差が大きい世代なので、「大学に入学してようやく修学体制に入ったら、今度は就職?何をしたいかわからないし、決めきれない」という、よくいえば大器晩成型の人材も多いはずだ。このような従来の就活回避傾向は今後大きくなる可能性を秘めている。企業側や大学も、古典的な新卒の前例主義の評価基準に陥らないで、通年採用の導入など本格的に検討すべきステージに来ていると思う。


「対応が新卒と違う」「不利」と感じる既卒者も半数弱で、"相半ば"が正しい見方では?!
 そんな中、「卒業後3年以内は新卒扱い」について、マイナビのコメントでは、「"新卒は一度きり"という既卒未内定者の精神的負担の軽減に繋がっていると推察」としている。その根拠は「卒業後に新卒扱いで企業に応募できた(47.2%)」「卒業後も就職活動を続ける気になった(35.6%)」だが、私はそう楽観的に捉えるのは早計と考えている。

 なぜなら、まず「新卒扱いは特に影響なし」と、 "4人に1人"にあたる27.7%が"関係ない"と回答しているからだ。またデータを読むと、「企業によって現役大学生と違った対応をしていると感じることがあった(26.3%)」「現役大学生に対する対応とは違っていると感じることが多かった(21.8%) 」とあり、「対応が新卒と違う」と感じている既卒者は半数近くいる。よって、企業の対応は「相半ば」と観るほうが自然だと思う。いずれにせよ、各企業は、既卒・新卒をフェアに観て、不利のない人事採用プロセスの構築から各面接官への個別指導に至るまで、徹底してほしい。


周りの理解と応援は15.7%と既卒者は孤独!
 他に気になる数字は、「卒業後も就職活動を続けることに対して周りの理解と応援が得られた」が15.7%でしかなかったことだ。「就活について主に相談した相手 (複数回答)」で、親や友人、大学、ハローワークなどの選択肢 がある中、「誰にも相談していない」が 12.1% と1割を超えているのが気掛かりだ。私は前回のBLOGOSでも紹介した「既卒者カフェ(@kisotsusyacafe)」のような、ピア・サポートの活用がこのような孤独な環境には有効だと考えている。

 最後に、「内定をもらっても企業に就職しなかった理由」をその経験者に聞いているマイナビの調査項目は、評価できる。
「言われていたルールと違う選考フローで選考がされたため、企業に信用が持てなくなってしまったから(関西文系・男子)」や、「内定を頂いた後に先生と相談したところブラック企業であったため(関西理系・男子)」などが紹介されている。そこには企業や大学への宿題のような回答が寄せられていると言ってよいだろう。こういう"耳触りのよくない"定性的なデータの開示に私は敬意を表したい。


参考データ「2012年度マイナビ既卒者の就職活動に関する調査 結果報告」:http://saponet.mynavi.jp/enq_gakusei/kisotsu/data/kisotsu_2012.pdf

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