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日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「世界の200人の高校生に打ちのめされた屈辱が、きっと大きな糧になるだろう!」56永嶋知紘221735_1029551784000_4756617_n.jpg


永嶋 知紘
国際基督教大学3年


米国で経験した挫折と屈辱~世界で通じない!!
 「何もできない」「議論に参加できない」・・・・
 人生で初めて味わった挫折は4年前の高校2年の時、アメリカにおいてだった。僕は"Future World Leaders Summit"に参加した。それは、世界から200人の高校生が集まり地球規模の課題について討論し合う大会だった。日本人唯一の男子高校生として参加した僕は、世界の優秀な高校生が英語で交わす議論についていくことができなかった。何を言っているかまずわからない、何を喋ればよいのかも整理できない、焦りと反省ばかり感じていた一週間だった。

 英語の能力はもちろんのこと、積極性や行動力、論理力などあらゆる面で、それまでいかに自分が未熟であったかを思い知った。せっかく与えてもらったチャンスだったのに、僕は見事に台無しにしてしまった。日本の、奈良という小さな街に住んでいた僕はアメリカという広大な大地で世界の同世代を相手にしたことで、世界の大きさと同時に自分のちっぽけさと弱さをしっかりと確認した。これが、今の僕の原体験だ。


屈辱と挫折をどうつなげるか
 日本に帰国してから高校に戻り、大学生になるまで、僕は毎日のように人生について悩んでいた。それまでは国際的に働きたいという漠然とした夢しかもっていなかったが、海外で打ちのめされてからは、「いつか彼らにもう一度会った時には、一泡吹かせたい」「彼らに議論や発想そして考え方でも負けないような"強い"大人になる」という目標を持った。その目標を達成するための手段として、身近な「教育」、とりわけ自分が属する「高等教育」に興味・関心を持つようになった。

 将来国内外を問わず活躍できる人になるためのリーダーシップ教育や、より高度なものを求めれば応えてくれるような教育が必要だと自分の経験から感じるようになった。幸い、現在通う国際基督教大学(ICU)では、学生と教授の距離が近く、授業以上に学びたい・深めたいと思えば気軽に質問ができる。また、いくつかの少人数のクラスではdiscussionなどの議論の場が提供されることが多いため、教授の一方的な意見ではなく、多様な見解を知ることができる。


学業よりもほかの活動を"妄信的に"重視する学生でいいのか?!
 しかし、このように学習環境としては整っているものの、やはり学生の中には、勉学よりもサークル、部活動、アルバイト、ボランティア活動などにエネルギーを多く注ぎ、肝心の大学での勉学に身が入っていない学生も正直多い。就職活動においてアルバイトや学外での社会経験が求められるようになっているので仕方がないという見方もできるが、学生の本業である学業をもっと重視するべきだと感じている。もっと学生全員が勉学を重要視し、各々が積極的に取り組めば、学生同士の議論や講義で提供される講義内容の質も向上するに違いない。学生が求める内容やレベルが違うため、高校時代の挫折を乗り越えるため勉学に集中したい僕と、勉学よりもほかの活動をある意味"妄信的"に重視する学生たちの間で、同じ授業に対する取り組みや姿勢が異なってしまっているのがとても悲しい。


今後のこと~世界で通じるリーダー育成
 「教育」に興味を持った僕は、これから自分自身を強くするだけでなく、他の大学生、また中学生、高校生たちが将来満足できるような学習環境を創っていくことを目標に掲げ、「教育」に対する熱を軸に長い人生歩んでいこうと思っている。自身が体験した挫折は、僕の人生の目標を提示してくれた。早い時期に経験したからこそ、それまでの甘い考え方が変化し、世界で通じるリーダー育成のための教育を充実させていくという大きな夢を今、具体的に持つことができた。ただ漠然と学生生活を送るのではなく、"いとおしいくらい"短いこの時期を有意義なものにしたい。

 大きな転機が訪れるようなきっかけを掴(つか)むことが、人間を大きく成長させてくれると僕は信じている。

プロフィール
Facebook: Tomohiro Nagashima(永嶋 知紘)
Twitter: @naganagashiii
Email: tomohiro.nagashima0529@gmail.com

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