代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「私の人生を変える休学中の経験~攻めのギャップイヤーで得られること」柴田さん写真1.jpg

柴田紘希
法政大学4年/NPO法人はちきたSC


トライアスロンに打ち込んだ大学生活、そして挫折
 私は大学からトライアスロンを競技として始めました。当然、上位に食い込んでいくためにはスイム・バイク・ランの三種目ともトップレベルの実力を持っていなければならず、それに伴って練習量も多くなります。私は幸いなことに1年次からある程度の成績を残すことができ、2年次の冬には日本のトップで戦っているプロのアスリートの方と練習させていただいていました。

 一日の練習時間は8時間なども普通で当然体は限界を迎えてしまいます。負けん気の強かった私はケガや体調不良を押して練習を続け、練習もままならないような状態に陥ってしまい文字通り燃え尽きてしまいました。将来はトライアスロン選手として活動していこうと考えていた私にとって、私自身のアイデンティティを失う強烈な経験となりました。


1年間の休学を決意
 大きな挫折を味わい、数か月間は自分探しと称して様々なセミナーや勉強会に毎日のように参加していました。その中で、「スポーツが好き」「人が好き」という二つの私の原点に立ち返ります。そして原点を踏まえ、どのように人生を歩んでいくのかを考えながら生活していた時、地域の住民が運営するスポーツクラブの存在を知ります。新しい取り組みとして、運営母体が企業でも行政でもない地域住民が作り上げるスポーツクラブの姿は私にとって衝撃でした。

 「もっと地域のスポーツクラブについて学んでみたい、本物を見てみたい」そんな単純ですが強い思いから、休学を決意します。両親との話し合いを経て、休学中の生活費は自分で出すこと、そして1年間の休学の後にきちんと大学を卒業することを条件に休学の許しを得ることができました。この時、地元政令指定都市の地方上級公務員試験に合格していた私にとって休学は大きな決断でしたが、自分のもっと学びたい、現場を知りたいという欲求が勝りました。


講義や本で学んだことはあまり役に立たない
 休学中の活動先は、地域スポーツクラブでクラブスタッフとしてクラブ運営のほとんどを仕事としてさせていただけることになりました。学生・大学という環境を離れ、地域・社会人の中に混じり活動を行ってきた経験は確実に私の成長につながるものでした。同時に、学生・大学という狭いコミュニティの中に留まっていることのもったいなさを感じました。

 実際に現場で働いた中で何度も驚かされたのは、大学の講義や本の中で学んだことは実際の仕事の中ではほとんど役に立たないということ、そして、自ら考え行動することが大切なことです。社会人の方々には当たり前のことだとは思いますが、私が知る限り、多くの学生はこのことの重要性に気づいていないと思います。学生のうちから社会の中に入って活動をすることで大学では決して学べない、しかし、とても重要なことを得ることができるのです。その意味で、私にとっても、休学し社会の中で活動したことは大変貴重で、私の考え方や今後の人生を大きく左右する期間でした。
 

休学すべきか迷っている人へ
 他の人と比べると幾分変わった道をたどる休学という選択は、決定するのに迷いや不安も多分にあると思います。しかし、10代や20代の1年間は人生全体を見通した時には大変短い期間です。たった1年間でも、この時期に経験する内容は今後の人生を大きく左右し、実り豊かなものにすることができる可能性を秘めています。ぜひ、やりたいことがある人は挑戦する勇気を持っていただきたいです。

 ただ、一つ注意したいのは休学にあたり、やりたいことをはっきりさせておくことです。目標のない休学は時間を無駄にしてしまう可能性が高いです。休学をすることによって大学という縛りから離れることになります。つまり自ら目標を掲げ、自分を高める環境に飛び込まなければただ無意味に時を消費するのみです。1年間卒業が先延ばしになることにリスクはありません。就活で不利になることもありません。ただ、休学していた期間に何をしていて、何を学んだのか説明できない無意味な1年間を過ごしてしまうことがリスクなのです。

 ぜひ迷っている人は自分のことをよく考え、理解したうえで実りあるギャップイヤーを過ごしていただけたらと思います。また、本掲載文がお読みいただいた方に少しでもお役立てただければ幸いです。私はフェイスブックを活用しておりますので、ご興味がある方はお気軽にメッセージやコメント等でコンタクトをとっていただけたらと思います。私にできることがありましたら喜んでお力になりたいと考えております。


プロフィール:
柴田 紘希(Hiroki Shibata)
1991年10月生まれ 法政大学スポーツ健康学部4年。
大学から始めたトライアスロン競技では、1年次から全国大会に出場。2年次には関東学生選手権9位、東海選手権6位、静岡県選手権2位などの成績を残す。
その後、オーバートレーニングによる度重なるケガと内臓の失調に苦しみ競技を引退。
公務員試験に合格したが辞退し、3年春学期から4年秋学期にかけて1年間休学。
その間、地域(東京都八王子市)のスポーツクラブである「NPO法人はちきたSC」(http://www.hachikita-sc.net/)の事務局スタッフとしてクラブの広報、企画、経理、営業など地域の中で活動を行う。卒業後は筑波大学大学院に進学予定。体育経営学の大学教員を目指し、勉学に励む。

facebookアカウント:https://www.facebook.com/hiroki.shibata.35
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