代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「留学をもっと身近な社会にしたい!」 早大・田島さんDSCF3393.jpgのサムネール画像


田島和輝(たじまかづき)
早稲田大学国際教養学部2年
※現在、英国University of Sheffield 交換留学中

 大学生になって初めて海外に出たような私が留学
 大学生になって、香港に数日滞在するために利用したのが初めての飛行機でした。そんな海外に縁遠かった私にとって、ここ英国での生活は日々発見に満ち溢れています。こちらに来て3カ月ほどですが、われながら日々成長しているという実感もあります。

 大学の制度で1年の留学が義務化、留年の心配なし
 私が選んだ留学という選択肢は幸運にも早稲田に入学した時点で決まっていた道でした。所属する国際教養学部は、4年間の大学生活の中で1年間の留学を義務付けているためです。単位も編入されるため、留年の心配はありません。大学生活の4年間を日本で惰性で"ぼおっと"として過ごすことだけは絶対に避けたいと強く思っていた私は、この学部を選ぶことで解決策を見出せました。

 その選択は当地に来て正しかったと改めて感じます。しかし一方で、早稲田の他学部の学生にとって「留学」という選択肢は必ずしも現実的ではありません。「お金かかるし、休学しないといけないし・・・」という友人の声をよく聞きました。

 留学の困難さはあるが、開発途上の学生に比べるとどうかという視点
 私から言わせれば、これは非常にもったいないことです。まずお金についてですが、日本人には大変に有利な環境にあります。元々の日本の物価の高さに加え、最近の円高。他のアジア諸国や発展途上国出身でイギリスや日本に留学している学生を前にして、同じことが言えるでしょうか。困難さ具合を他国と比較して考えてみることも必要です。

 "制度"の導入はやはり効力があり、ギャップイヤーで来日していた学生に遭遇
 次に休学等の制度上の問題ですが、留学に資金が必要なのはどうしようもないでしょうが、大学側が留学希望生に対して、今より寛容なシステムや制度を作ることは不可能ではないはずです。その解決策としてギャップイヤーの制度導入の検討は理にかなっています。

 私の留学中の大学には、East Asian Study という学部があり、アジアの国々について言語も含め勉強している学生が大勢います。その中で、一人の英国人学生は入学前にギャップイヤーを利用して、日本にJET(Japan Exchange and Teaching Programme)という外国人受け入れプログラム制度に参加し、英語教師として様々な場面に派遣され、半年間を過ごしたといいます。

 彼は、滞在を通して日本に、より興味を持ったと興奮気味に話してくれました。こういう既定の路線から少し外れて、学問の中では経験できない何かを学べるというのはギャップイヤーの大きな魅力だと思います。

 ギャップイヤーの受け入れ態勢の整備を
 もちろん無批判に制度導入を検討するのはよくないことかもしれません。例えば日本の高校生の大学進学率が50%程なのに対し、イギリスは20%程と状況が違い、こちらの大学生は元々競争を勝ち抜いた意識の高い層だと私は考えています。また、帰国後、企業やNGOなどの受け入れ態勢を整えることも重要でしょう。効果的な運用のための土壌をどのように整えるかという視点も含め、多くの関係者を巻き込んだ議論が必要だと考えます。

 「留学」をもっと身近なものにしよう!
 最後に留学を考えている人に伝えたいことがあります。それは留学というのは決して一部の特別な人だけの道ではなく、身近であるということ。私自身イギリスの大学で勉強するなんて高校の頃は微塵も思っていませんでした。留学する前は書類の準備など大変なこともあります。しかしこちらで学期が始まってしまうと、当たり前ですが、学生としての基本的に求められるものは何も変わりません。

「留学」というのは特別な期間ではなく、日常のちょっとした延長線上にあるという感覚がもてる日本にしたいものです。ただ、結局はどこにいようとも、一日一日の努力で大成するかどうかが決まるということも自戒の念も含め、思っています。

 残念ながら、留学を考える人は多くても、実行する人はまだまだ少ない。でも、それはちょっとした意識の差がブレークスルーになるかもしれません。ギャップイヤーが日本の学生を一押しし、たくさんの同胞が海外で挑戦する日が来ることを先に経験した学生として、願ってやみません。


田島和輝(たじまかづき)
Twitter: TheTwitTAZY

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