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日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

濱田さんJGAP写真.jpg「"スーパーマン"にはなれないけれど、まずは社会的投資ファンドで半年インターン」

濵田太郎
公立大学法人 国際教養大学(12年度ギャップイヤー入試合格者)


中学受験には失敗していました
 私は世間的にというか自分的には中学受験に失敗していて、意中でなかった茨城にある、とある中高一貫校で6年間学びました。しかし、大学入試が終わって振り返ってみると、実際には最高の選択だったと思います。その学校は茨城県のつくば市にある学校で、周りには研究所以外には目立った施設がなく、中高生として勉強するには持ってこいのところでした。


課外活動豊富だった中高時代
 カリキュラムがまた独特で、中学2年次には真夏に筑波山まで24km歩いて、山を登って、さらにシャワーも浴びずに3泊4日のキャンプをするという行事や、高校1年次には海で4km泳ぐという臨海訓練という行事もありました。これらの社会体験に近い行事で人間として生き抜く力をつけ、高校2年次には自由なテーマで「個人課題研究」という卒業論文を、私は120枚程度でしたが(多い人では150枚)、書きました。論文作成時は自分の進路へ向きあい、自分の進路を見直すよい機会にもなりました。

 学校が茨城にあったこともあって、それは地元である都内の友達とは話す機会がなかった6年間でもありました。しかし、あるときSNS上で、中学受験当時の第一志望である某名門大学付属中学に入学した友達を見つけて話した時には"浦島太郎"のような感覚になりました。というのも、当たり前のようにこなしてきた様々な学校行事での経験を話すと「そんなことしたの?!」という驚嘆の言葉で返ってくるのです。そのとき、茨城の中高一貫校での6年間のある意味、隔絶された期間の稀有な経験が人生の強みになっていたということに気づきました。


大学のギャップイヤー制度を知り、決めるまで
 正直な話で、ギャップイヤーという言葉を知ったのは3年生(2011年)になってからの昨年5月でした。秋田県の公立大学法人である国際教養大学に訪問する機会があり、その際の入試説明の中で入学方法の一つとして「ギャップイヤー入試」を知りました。その時までは、考えたこともなかったこともありませんでした。
 性格上新しいもの好きな私はギャップイヤーについてすぐに調べました。9月に入学するとしか知らなかったので、欧米のスタンダードに合わせるだけのものだと思っていたのですが、実際には9月に入学するまでの間に自由なことをできることがわかりました。

 私はこの制度を調べれば調べるほど興味が湧いて来ました。というのも高校3年生では受験勉強が忙しくなり、勉強をすることで身につく知識量と、それに伴って変化する自分の将来の進路への不安の両者を整理して考える時間が取れなくなってきたからです。進路について向きあうことの大切さは前述の通りに既に知っており、このまま高等教育プロセスである大学の授業をすぐさま受けることに一種の不安を覚えていました。それに加えて異色な経験が武器になるということも中高で学んでいたので、中学受験で世間的に失敗した私が自分に納得できる道は、「これだ!」と思いました。

 一方で、親や学校の先生や塾の先生からは「ギャップイヤー制度」を利用することは反対されました。まず心配されたのは「就職はできるのか?」ということでした。「9月入学の8月卒業」は社会から認識・承認されていないということで大きな懸念があったのだと思います。しかし、国際教養大学の先例を先輩方から聞くと「逆に就職は困らない」などの実績を聞いたので、それを説得材料に、10名のギャップイヤー入試枠を受験することに至りました。

私の社会体験活動は "社会的投資ファンド"でのインターン
 国際教養大学では受験の際に、半年のギャップイヤー期間の活動計画を出すことが義務付けられています。選考過程にもその計画書の審査があります。私は、中高でお世話になったアフガニスタンから来た先生の影響を受け、国際協力の舞台に立つということを将来の夢として考えていました。

 そんな中、父の紹介で発展途上国で事業展開するARUNという社会的投資ファンドを知りました。ARUNは従来の投資のように高いリターンを求めるのではなく、社会問題を解決することを目的とし、日本で投資家を募り発展途上国の中小企業をターゲットに投資しております。ボランティアに懐疑的で、新しい国際協力の方法が必要だと考えていたので、まさにARUNは人生を変えるような企業です。そこでARUNの代表の方にお会いし、受験する前に何度もメールで連絡を取り合い、最終的にはインターン生として受け入れていただけることになりました。

 現在予定している活動としては、火曜日から金曜日までの10:00から18:00までARUN事務局内での事務業務全般や普及・啓発業務をさせていただくことになりました。普及・啓発業務では、より社会的投資を世間に普及させるためにワークショップを企画するなどの、リーダーシップを必要とする業務を遂行させていただく機会も与えて頂きました。さらには日本の投資家が実際に投資先を知るために開かれるカンボジアへのスタディツアーへの参加や、カンボジアの学生とカンボジアで行うビジネスコンペティションにも参加させていただくことにもなりました。

"スーパーマン"にはなれないかもしれないけれど・・・
 中高一貫校に入学した時の学年主任から何度も「卒業するまでに"スーパーマン"になれ!」と言われました。前述のハードな行事に加え、勉強も部活も両立する。その勉強も文理に問わず、幅広い知識を身につける。さらにはリーダーシップも身につける。たしかに私は行事こそは真面目に全力でぶつかり、稀有な経験もできましたが、リーダーシップなどの面も考えると、完璧なオールラウンダーな人間"スーパーマン"にはなれませんでした。

 高校生では触れることが出来なかった国際協力の場をインターン生として社会的投資に関して学び、それを通じてリーダーシップを身につける機会を頂戴したと思っています。そして学んだことを通じて発展途上国の開発において日本人が求められていることや、またその中で国際教養大学における4年間で何を意識して学ぶべきかを考えます。そして、キャリアについて具体的な意識を持ちたいと思います。"スーパーマン"になれなくても、このようなことを目標を持ち、充実したギャップイヤー期間を過ごしたいと考えています。

最後に、今現在の障害
 ギャップイヤー制度はその制度の大きな特徴である高校から大学への移行期間に行う活動なので、3月に高校を卒業してから9月に大学へ入学するまでの間はどこの学校にも所属していないことになります。そのため、私の場合はギャップイヤー中には、学割無しで自宅のある茨城から都内のARUN事務局までの定期券を購入しなくてはなりません。それが、小さくない現在の悩みです。

プロフィール
濱田太郎
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Twitter: Taroh Hamada [@hamataro_9401]


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