代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

加藤さん写真P7160224.jpg「一本の糸で世界をつなぐチャリの旅」

加藤功甫
Connection of the Children共同代表


自転車旅×子ども×つながり

ここに1本20cmの糸がある。旅中出会った子1人に1本その糸を手渡し、前の子どもの糸の先に結びつけてもらう。2人出会えば糸の長さは40cm。3人出会えば60cm。100人出会えば20m。1000人出会えば200mになる。


「つながり」と言われて、あなたは何を、そして誰を思い浮かべますか。
大学時代、長期休みを利用し4年間かけて日本をチャリで縦断した。至る所で声をかけられた。

「がんばってねー!はい、これ差し入れ!」
「お兄さん見てると私も勇気が出てくるわ!ありがとう」
「ほー!横浜から!今日は家に泊まってきなさい。旅の話が聞きたい」

今、日本では希薄になりつつある「つながり」、「人とつながることの楽しさ」を沢山感じた。
人とつながることはすごく心地よくて、あったかくて、ワクワクするもの。
つながりの大切さをみんなでもう一度再確認できないかな。

日本を縦断した今、次に目指す先は...世界。どうせなら世界で一番大きな大陸を走破したい。
でもそれだけじゃない。どうにかして「つながり」を表現したい。それも分かりやすい形で。

「見えないつながりを、見える形に。」

対象は...子どもにしよう。教育学を学ぶ中で、子どもの大きな可能性を強く感じたからだ。

「自転車旅×子ども×つながり」

Connection of the Childrenの大きな枠ができた。
2010年2月、横浜。ぬけるような青空が広がる日だった。

厳しい言葉⇔温かい支え

「君が言うことはよくわかる。でもそれが私たちの会社に利益をもたらすとは考え難い。」
「それは君にしかできないことなのか。他の人が別に普通のバックパッカーで行ってもいいんじゃないのか。」

困った。協賛がつかない。

旅をするにあたり、準備期間は約1年。必要資金は装備品、予防接種、旅費などを合わせると一人当たり150万円ほど。卒論を進めながら年間150万を貯めることは不可能。
同時にプロジェクトとして1年間活動を行うのならば、できる限りそれをオフィシャルなものにしたい。そうすればプロジェクトの信頼性があがり、話を通しやすくなる。
ではどうするか。そうだ、スポンサーを集めればいいのか!
とは言ったものの、プレゼンなど全く素人な自分。プロジェクト自体も立案当時は全く方向性が定まっていなかった。そんな中思いつきで回った企業はことごとく敗退。辛さだけが残った。しかしそんな中でお伺いした、あるコンサル会社の代表の方との出会いが、プロジェクトの大きなターニングポイントとなった。

「プレゼン、まだまだ未熟。企画自体もまだまだ未熟。でも君たちのその熱い思い、私には確かに届いたよ。私にできることならなんでもしよう。がんばれ!」

明確な正解は決して教えてくれない。でも、壁にぶつかった時、道に迷った時、その乗り越え方、進むべき方向を示唆してくれた。

「やりたいことが沢山あることはいいことだ。でも、何でもかんでもやればいいってもんじゃない。1本の芯を見つけるんだ。君たちにはもうそれがある。まだ気づいていないだけで。」

企画立案から半年、遂にプロジェクトが完成した。余分な肉をそぎ落とし、辿り着いたのはシンプルな答え。世界中の子どもを1本の糸でつなごう。糸の長さがすなわち世界のつながり。見えないつながりが見えるつながりに。

横断が終わり今考えること

11ヶ月、31カ国、20000kmに及ぶ今回のユーラシア大陸自転車横断。つながった子どもは5000人以上。糸の長さも1kmとなった。
当初予想していた以上に本当にたくさんの出会いがあり、素敵なつながりができた。ここで書き出すときりがないので、詳細はCoCのHPをご覧ください。世界に住む99%の人々は温かい心を持ち、ホスピタリティーにあふれ、支えあって生きている。

自らが望み、そして行動を起こせば、不思議だけれど、必ずそこには望むべきつながりが生まれる。そしてそのつながりが新たなつながりを生み、連鎖する。そう、今回のケースのように。CoCの企画を始めてから、自分を取りまく環境が大きく変化した。その変化は今も続いている。この動きが今後どうなるのか、僕にもわからない。けれど、軸をぶらさず、突き進んでいこうと思う。
ユーラシアを横断しきった今、今度はそこで感じてきた経験を、得たワクワクするつながりを、日本のそして世界中のこどもと共有していく活動をしていきたい。まずは全国の小中学校を回り、旅の話を、そして糸つなぎのプロジェクトを実施していく予定です。きっとそこにはキラキラ、ワクワクするつながりが待っているはずだから。
旅はまだ始まったばかり。

※この次のエッセイは、一緒にツーリングしていた田澤さんが書いています。対でお楽しみ下さい!(JGAP)

HP: http://coccoccoc.web.fc2.com
FB: Connection of the children
Twitter: kosuke375

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