森裕紀 (22歳)
慶應義塾大学総合政策学部4年(現在休学中、コンゴでビジネス奮闘中)
はじめに
私は大学1年生のときからゼミの活動でアフリカのコンゴ民主共和国での小学校運営・建設プロジェクトに携わってきました。そして4年生になった今年、大学を1年間休学してコンゴの首都キンシャサにある米系ベンチャーでインターンをしています。
キッカケは社長との出会い
去年の夏に現在インターンをしている会社のユダヤ人社長にコンゴで知り会いました。この"オヤジ"とにかくメンタル・知力・体力が凄まじいです。
イエール大卒、ハーバードMBAホルダーで経営コンサルタントとして順調にアメリカンドリームの階段を上り始めたときに9.11で家族を失って、イラク戦争も闘ったという異色の経歴の持ち主。初対面の5分後に言われました。
社長:「お前達、日本人はなんでアフリカにビジネスをしに来ないんだ?
中国人はビジネスチャンスを求めて国をあげて地球最後の市場を開拓している。
70年前、日本が第二次世界大戦で負けた責任は今のお前達の世代にはない。
だが、21世紀のいま日本が今度は"資源戦争"に負けて、お前達の子ども世代が苦しい生活をすることになってみろ。
それは間違いなく今を生きている日本人の責任だよ。
外を走っている車を見ろ!コンゴの車はほとんど日本車だろう?
アフリカの砂漠だろうがガンガン走っている!
アフリカの流通は日本車がなかったら20年は遅れただろう。
日本は車に限らず、優れたモノをたくさん持っている。
技術やアニメ、健康食品なんでも良いからコンゴに持って来るだけでもビジネスになる。
さっさとその重いケツをあげてアフリカに出て来い!
ブルーオーシャンが待ってるぞ!って、友達にも伝えといてくれ。」
1時間ぐらいのおしゃべりで、「この人の下で1年ばかり働いたら、オレ将来輝くな!」
そんな直感が働いて休学をしてインターンを決めました。
コンゴに来て4ヶ月目とこれから~300万円持ち帰る!
ちんぷんかんぷんなフランス語、1日$3の生活、下痢etc....
それらの数ヶ月はまずはコンゴでの長期滞在に慣れるためのトレーニングでした。
これからはガツガツ稼いで来年の1月までに最低でも300万円作って帰る予定です。
映画Wall Street(1987年)に出てくる言葉に「Greed is good」(強欲=儲けることは良いことだ)があります。映画の中の金融界のドンであり、悪の権化のようなマイケル・ダグラスが演じるゴードン・ゲッコーの台詞です。彼は最終的にはモラルハザードが原因で刑務所行きです。
映画そのものは拝金主義者を叩きつぶすことで皆がハッピーになるエンディングになっています。
日本でも「稼ぐ!儲ける!」なんて人前で声高に話したら、それだけで偏見の目で見られたり、品性を疑われることになると思います。
でも、コンゴみたいな社会インフラが未発達な国では「稼ぐ!儲ける!」といった気概は尊敬されます。
何故なら自分が稼ぐことで、雇用を増やし、従業員に給料を払えるからです。
世界最貧国のコンゴでは公務員の警察官ですら、月額の給料が満額でUS$300にも満たないです。
それでも遅配で給料が3ヶ月、4ヶ月遅れるなんて当たり前。24ヶ月間も給料が払われるのを待っている人だってざらにいます。
生活のために警察官が小金を稼ぐために民間人相手に悪さ(サイドビジネス)をするから、治安も落ち着かない。
月にUS$100でもいいからしっかり稼いで、その中から従業員に給料を支払う。日本では当たり前でもコンゴではこれだけでも大変な価値があるんです。
雇用創出以外にもコンゴで誰かが儲けるということは16%の税金を政府に納めて、コンゴ社会に価値を生み、競争を加熱させ、コンゴ国内のプロダクトやサービスの質を向上させて、コンゴの発展に貢献することに繋がります。
私の2012年の目標はモラルの範囲内で「Greed is good」をモットーにビジネス経験を積み、社会のために最貧国のコンゴの発展に微力ながら貢献することです。
PS:
ブログにはコンゴビジネス最前線からアフリカの生活に関することまで色々楽しく書いているので覗いてみてください。
『アフリカでヒートテックを着ながらベンチャーで働くSFC生のブログ』: http://sfcstudentincongo.wordpress.com/
プロフィール
森裕紀
Twitter: @malariacarry
Facebook: Hiroki Mori