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日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「旅でも留学でもワーホリでもない~"ちょこっと移住"の新しいギャップイヤーのススメ」角田さんPB213553.JPG

角田藍美(すみたあいみ)
北海道大学経済学部4年

(大学3年修了後一年間休学し春にオーストラリア、秋にイギリスへ。どこの機関も通さず、現地でシェア物件を探し自力で人脈を広げることで、低予算での海外滞在と英語習得を実現させた)

人生の自由な時間を増やしたかった
日本は社会人になると長期休みを取りにくい!
大学卒業までに英語を話せるようになりたい!
旅、海外、国際交流が好き。もっと異文化を知りたい!


これを読んでいただいている皆さんは、上記のように考えている人が多いのではないでしょうか?私自身もそうで、大学2年の時から漠然と休学を考えていました。

私は大学3年の時に3つの学生団体のリーダー格を務め、充実した日々を送っていました。しかし、これらの活動に莫大な時間を費やしたことで、入学当初の目標であった英語の習得はおろそか、自身を見つめ直す時間がほとんど取れていない状況でした。このままでは卒業できないと思い、「社会に出る前に徹底的に自己投資をしよう!」と一年間の休学を決意しました。

お金が無い、好奇心旺盛なら自己手配が鉄則!
 では実際休学をして何をしたか?私の場合は他のギャッパーの方々のように世界一周等の大きな事を一つやったのではなく、細切れに色々なことをしたのが特徴です。

 まずは英語力アップのために英語圏の国へ。資金は自分の"バイト代のみ"のため、いかに節約できるかがカギです。
語学留学は費用が高い上に、非ネイティブの人と関わる機会が多いため、時間とお金をつぎ込むには非効率的だと考えました。旅好きなので世界一周も考えましたが、旅先で出会った人との会話は大抵いつも同じ話題なので、語学力アップには適しません。海外インターンやワーホリはかなり迷いましたが、どこかの機関や企業には一度申し込むと変更がききません。好奇心な性格上、一年間様々な人やモノに触れていくうちに自身のやりたいこと・興味が変わり続けることは目に見えていたため、よりフレキシブルに対応できる手段を考えました。

以上の条件を踏まえて編み出したのが、
"海外にちょこっと移住し、現地で人脈を広げる"方法。
どこの機関にも頼らずに、日本の中で引っ越しをする感覚で、海外に短期間だけ住みにいく方法です。留学ではなく住むだけなら家賃と生活費だけで済むため、かなり低予算で生活できると考えたのです。

ひょんなことからオーストラリアで学校の先生体験
 "ちょこっと移住"という方法を思いつき、まずは4~5月の二ヶ月間は私の大学の留学生だったオーストラリアの友人宅にホームステイさせてもらいました。アデレードから一時間離れたマクラーレンベールという、大自然の小さな町です。

 現地でほとんどの時間は友人やそのボーイフレンドと過ごしましたが、滞在中一番面白かったのが、近所の小中高一貫の学校で先生の経験をしたこと。

 友人の母に「そこの学校、第二外国語で日本語を勉強しているから、ちょっと遊びに行ってみたら?」と言われ、アポ無しで教室へ突撃。授業中にも関わらず私はガラガラとドアを開け、「あのー、日本から遊びに来てるんですけど、授業を見学しても良いですか...?」と先生へ言いました。生徒たちの注目が私に一斉に集まる中、先生は「もちろんどうぞ!正しい日本語の発音を生徒に教えてあげて!」と即答し、私はその時から授業のアシスタントになりました。

 見も知らずの外国人がアポ無しで学校へ突撃して、その日からアシスタントとして歓迎されるなんて!日本の学校だったら、門に入った時点で下手したら警察沙汰でしょう。田舎だったこともありますが、オーストラリアの人の自由さを目の当たりにしました。
この日から暇さえあれば学校へ行き、小中高の授業でアシスタントとして日本語の発音指導や課題の添削、対話練習をしました。一番仲良くなった高校生のクラスの生徒が「アイミセンセイー!」と最後の授業で泣いてくれたことが今でも忘れられません。


シェアメイトも人脈も自力で切り開く!@ロンドン
 オーストラリアの滞在だけでは英語力が不十分だと考えた私は、もう一度英語圏の国へ"ちょこっと移住"する必要があると考えました。そこで選んだのがイギリスのロンドン。オーストラリアの時とは違いツテも滞在先も無く、全てゼロからのスタートです。

 10~11月の二カ月の滞在で、日本では航空券と初めの五日間の宿泊先だけ手配し、現地に着いてからフラットシェア物件を探しました。フラットシェアとは、自身の部屋は与えられ、キッチンやリビング・トイレはシェアメイトと共同で使うスタイルのこと。(これに対してルームシェアは、一部屋に2人など部屋自体も共有するスタイル)そこで私はGumtreeというイギリスでポピュラーな掲示板サイトを活用し「22歳の日本人女子が駅近くの安い部屋を探しています!」と書き込み、受け取った97件のメッセージの中からイギリス人カップルとのシェア物件を選び、残りの期間はそこで生活しました。

 家の次は、英語力アップのための友達探し。今度はGumtreeの友達募集のカテゴリに書き込み、47名からメッセージを受け取った中から12名と会いました。出会い目的の怪しい人は、数多くのメールをこなすうちに文章から分かるようになりました(笑)その他交流パーティーにも積極的に参加し、知り合いゼロの状態からどんどん人脈を広げました。こうして現地で知り合った人とカフェやパブでひたすら話したり、買い物や映画に行ったり、日本と同じように過ごしました。サッカー好きでシーズンチケットを持っている友達にタダでアーセナルの試合に連れてってもらったり、画家の友達が美術館に行って絵を一つ一つ解説してくれたり、プロのポーカー士に映画作成者に...ロンドンでは面白い出会いの連続でした。

 またロンドンは人口800万人のうち半数以上が移民ということもあり、街を歩けば言語、髪や肌の色、服装もバラバラ。レストランも多国籍で、日本ではあまり見ないパキスタン料理、モロッコ料理なんて珍しいお店が多数あります。そのため外食ではイギリス料理を食べる機会はほとんどなく、食に困ることはありませんでした(笑)

 ロンドンの人々はお互いの文化を尊重し合うことにとても長けていて、私も着いたその日から、日本人観光客ではなく一人のLondonerとして接してくれました。これがロンドンの魅力であり、移民が集まる理由なのだと思います。日本人しかいない日本ではできない経験なので、ロンドンの生活は本当に刺激的なものでした。

 このようにゼロからスタートし、生活に必要な情報も人も全て自力で探すことで、オーストラリア同様留学よりもはるかに安い費用で滞在できました。現地で一人で生活するための十分な英語力も自然と身に着き、TOEICも休学前と比べて185点アップに成功しました。


海外だけじゃない!日本でもやりたかったこと
 海外にいた期間は春と秋の二カ月ずつですが、それ以外の期間は何をしていたか?
一つ目はアルバイトです。冒頭で書いたとおり、休学の資金は全て自身で用意するため、二カ月の海外生活でお金を使い果たしたら、帰国して稼ぐ必要がありました。そこで「休学中にしかできない働き方をしたい!」と考え、北海道の北の先にある利尻島のホテルで一カ月住み込みをして働きました(リゾートバイトです)。海の幸は美味しいし、優しい島の人が休みに色々なところへ連れていってくれましたし、何よりたった一カ月で25万円貯めることができたのは大きかったです。

 二つ目は、冒頭で述べた学生団体の活動。自らが創始したJリーグのコンサドーレ札幌と学生のコラボイベントが、9月に第二回目を開催することになっていました。私は日本にいなかったため運営にはほとんど関わっていなかったのですが、発足人としては「イベント直前だけでも参加したい!」と強く思い、この期間は日本に留まることを決めました。


気になるお金事情。ロンドン二カ月で○○万円!
 もし今休学を考えている人がこれを読むとしたら、お金のことが気になりますよね。
ここで私の資金繰りについて以下にまとめるので、未来のギャッパーの皆さんの参考になればと思います!

【ツテ無しでも誰でもできる!ロンドン二カ月"ちょこっと移住"費用】
往復飛行機代:120,000円*1
宿泊費(シェア物件が見つかるまで短期ホームステイ×五日):12,000円
家賃(フラットシェア個室×七週間):90,000円*2
生活費(食費、自炊、日用品):25,000円
交際費(パーティー、飲み代、カフェ代等):25,000円
現地交通費:20,000円
携帯電話:3,000円
海外旅行保険:13,000円
その他:5,000円
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合計:31万3000円 *3
(1ポンド=130円:2012年当時)
*1実際は大韓航空の周遊航空券で、ロンドン着、ローマ発でした。ロンドン発着にしてもさほど料金は変わりません。
*2安いところを探せば一週間一万円以下のフラットシェアも可能。ルームシェアで良いなら更に安くなります。
*3これとは別に約10万円予算を取り、フランスとイタリアを10日間旅行しました。


おわりに~日本をもっと知りたい!
 休学を終えてこれからやりたいことは、日本という国についてもっと知ることです。というのも、海外で現地の人と話す時、自分がその人にとってのいわば"日本代表"になってしまうからです。私が話したことがそのまま日本のイメージになりうるのですが、残念ながら休学中の私はうまく伝えることができなかったと反省しています。そのため日本の政治や経済・歴史等を深く勉強していくとともに、第三外国語としての中国語や、英語も今後はTOEIC950点越えを目指して勉強していきたいです。

 私のギャップイヤーは終わりましたが、これからも"今しかできないことに全力投球"のモットーの元、駆け抜けていきたいです。

プロフィール
角田 藍美(すみた あいみ)
北海道大学経済学部。大学3年時に『北大ミスコン実行委員会』で営業担当を務めた際に、Jリーグのコンサドーレ札幌へミスコンのタイアップ企画を提案し、"スタジアム学祭"イベントを実施。その翌年はミスコンから切り離し、コンサドーレ札幌の若者集客に特化した学生団体『赤黒学生連合』を発足した。また同じく大学3年時に、日本赤十字社元の『学生献血推進評議会』の全国委員長と北海道支部の代表を務め、若年層の献血者数増加の指揮を執った。
Twitter : @aimidaaasumi
Facebook : Aimi Sumita
E-mail : a.sumita27@gmail.com

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