代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「私がバングラデシュで挑んだこと ~ この国の若者に"機会"を作る!」1加藤さんprofile_photo.jpg

加藤遥平/ Yohei Kato
(筑波大学 社会・国際学群 国際総合学類5年)


思い続けた計画
 2ヶ月ぶり6回目となるバングラデシュに降り立ったのは、2013年1月18日。
初めて、この国に来てから2年間、通い続けたのには理由がありました。
この国で情熱を持って挑戦し続ける人々のようになりたい、
口だけでなく行動を起こせる人になりたい、そう思っていました。

そんな私が思い続けた挑戦はバングラデシュでビジネスコンテスト(以下ビジコン)を開くことでした。目的は優秀な人材の流出に悩む農村と、都市で増加する若年失業者、この2つの問題を解決することです。具体的にはビジコンを通じて、若者とバングラデシュで活躍する起業家をつなぐ起業家コミュニティをつくり、長期的には若者の農村での起業支援を目指すことです。今回はビジコンが継続されるよう、SWITCH! (*1)という社会変革のための若者のプラットフォーム作りに取り組む団体のプロジェクト1つとして取り組みました。


ぶつかった壁
 最初の2週間はもっぱらスポンサー集めに集中しました。首都ダッカを走り回りながら、企業、大学、NGO、学生団体とプレゼンして周り、自分の思いを伝え続ける毎日を送りました。

 ようやく計画を実行に移せたことへの興奮と、持ち前の楽観さも手伝って、私たちは自信に満ちあふれていました。
しかし、2週間かけて、得られた協力は1つだけでした。
もっと、ずっと簡単だと思っていた自分の甘さに気付かされました。

 メールをしても返信がない。電話をしても出てくれない。
約束をしても守ってくれない。ミーティングを開いてもメンバーが来ない。
アポをとりつけると、ストライキでキャンセルされる。

 思うように進まない日々が続くなか、 帰りの渋滞のバスの中で毎日「絶対に大丈夫!」と仲間に言い聞かせながら、弱気になりそうな自分を奮い立たせていました。


誰を救いたいのか?
 一番最初に始めた一番重要な仕事、スポンサー集めが進まない状況でも、参加者の募集、選考、農村調査の準備、会場抑えと仕事はどんどん増えていきました。

「お金を一銭も使っていない今が辞め時だ」

 相談役の頼れる起業家からのそんな一言は、耳に入っても受け入れることはできませんでした。
そんなお世辞にも良いとは言えない状況で、私達がとった行動は、ひたすら話し合うことでした。
これまでの行動の一つ一つを振返りながら、その時々に思ったこと、感じたことを共有しました。
そして、何よりもこのビジコンを通じて救いたい相手が誰なのかを確認し合いました。

「何としても、この国の若者に機会を作る。」

 この後、何度も壁にぶつかりましたが、それでも進むことができたのは救いたい相手が明確だったからだと思います。


土壇場のコミュニティ・デザイン
 ビジコンの最終審査発表会の2週間前に会場が決まり、10日前にスポンサーが決まり、審査員が決まったのは前日でした。
慌ただしい準備の中でも、参加者を招いてワークショップを開き、5日間の農村調査を行い、プレゼンの練習を積みました。日々強くなる参加者のチームワークに私たちの期待は高まりました。

 そして迎えた2月26日。アメリカ大使館が作った真新しい会場を舞台に、バングラデシュを代表する起業家を審査員に招き、満員の観衆の前でビジネスプランの最終審査発表会を開きました(*2)。活き活きとプレゼンする参加者の姿を見れたことが僕らにとって何よりの喜びでした。ちなみに、優勝チームのビジネスプランは、「栄養不良の農村住民をターゲットに安価で栄養価の高い豆乳を製造すること」でした。加藤さん学生プレゼンphoto1.jpgのサムネール画像加藤さん写真3photo2.jpg

  今回のビジコンは今後も続く長い挑戦の始まりにしか過ぎません。このビジコンを続けながら、今回生まれた起業家コミュニティが大きく成長し、バングラデシュの若者の未来を切開いてくれることを信じて、来年に向けた準備に取り組んでいます。


挑戦の価値
 最後にビジコンの審査員の方からいただいた言葉を紹介します。
「SWITCH! の最大の功績は、ビジコンの開催という挑戦を通じて、起業家精神の何たるかを示したことだ。君たち(参加者)も今日の結果に一喜一憂せず、歩みを止めないで欲しい。」

 挑戦にはリスクが伴います。失敗はとても怖いし、辛いです。
それでも挑戦することでしか出会えないプレッシャー、養えない精神、見えて来ない自分の一面があります。

 「学生の間にしか、できないことがある」というのは「社会人になったら忙しくて時間がないから」ということだけが理由ではありません。社会人でも挑戦はできますが、学生時代の方が挑戦から学べることも、失敗を活かせる機会も遥かに多いはずです。これが学生時代の「挑戦の価値」なのだと思います。

 私はこの3月に大学を卒業し、9月からアメリカの大学院へ進学します。夢である「国境なきコミュニティデザイナー」を目指して、また新しい挑戦の始まりです。

 皆さんはこれから、どんな挑戦を始めますか?

(1)SWITCH! a youth platform for social development:http://www.switch-bangladesh.com/
(2)ビジコンの写真・動画はこちらのページからご覧いただけます。:http://goo.gl/EfLWk


加藤遥平
フロンティア・フォーラム欄寄稿
No.75:「米国留学、国際NGOインターンを経て、バングラデシュ~国境なきコミュニティデザイナーを目指している私」
http://japangap.jp/essay/2012/07/ngo.html

イベントのお知らせ:3月20日(祝)14-17時「5年間の大学生活が教えてくれたもの」
https://www.facebook.com/events/252463444885714/

※2013年3月卒業後、9月からアメリカ カリフォルニア大学デーヴィス校へ進学し、コミュニティ開発を専攻予定。夢は「国境なきコミュニティデザイナー」。
Twitter: https://twitter.com/he_yy
ブログ: http://yoheikato.weebly.com

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