代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「夢がなくても生きていける!~高校2年時のギャップイヤー」太田さん写真.JPG

太田 旭@グアテマラ
青年海外協力隊 24年度2次隊 栄養士

【夢も希望もない】
 大きくなったら何になりたい?というフレーズ恐怖症だったわたし。。。
 就学前に通っていた児童館で将来の夢を問われ、答えられないでいると好きなことは何かと質問を変えられました。「歌うこと」と答えた私、将来の夢は"歌手"ということになり卒園文集に記されました。小学校の卒業文集では「身体に悪いことは避け健康な人生を送りたい」というような内容で切り抜け、中学では「素敵な人になりたい」と誤魔化しました。
 考え事で日々忙しく、ニュースを見て毎日号泣しているような子どもでした。


【高校2年次を休学して】
 社会福祉を学ぶ高校へ進学したものの、介護士になるつもりはありませんでした。衣食住は職業にしなくても一生つきまとうもの、学んでおいて損はないと考え選んだ進路でした。

 そんな私に、高校1年の冬、人生のターニングポイントが訪れました。某福祉大学のメキシコ遠征に同行させていただき、現地の老人施設を見学する機会がありました。そこで暮らす人達から、「周りにあるものだけで工夫すること」、「いる人だけで楽しむ方法があること」を学びました。

 モノが溢れる日本で暮らしてきた私たちより、断然それら2つを心得ているのではないか、という気づきを貰えた気がします。  

 その2ヶ月後には高校を休学して中米へ渡りました。そこではまた新しく、痩せ細った栄養失調の子ども達との出逢いがありました。その子達と接していく中で、私はいつの間にか帰国後は栄養士を目指そうと考えるようになっていました。16歳にして、人生で初めて具体的に目指したいと思えるものが見つかったのです。

 目標を達成するために、情報収集が必要でした。情報収集をするためには、人とのコミュニケーションが大事でした。もともと人と話をすることが好きだったので、中米留学中にそれまで関わる機会の少なかった年代・職種の日本人や各国の人々と積極的に交流を持つよう努めました。

 そこで痛感させられたのは、自分の予備知識のなさ、教養の浅さでした。
それまでどれだけ勉強をするようにと他者から助言をもらっても、全く勉強する意欲が湧かなかった私ですが、人と人との関わりに役立てるための勉強と思えるようになってからは、抵抗なく学習に打ち込むことができるようになりました。
あれから15年の月日が過ぎ、今私は青年海外協力隊栄養士として、あの頃出逢ったような栄養失調の子ども達を対象に、途上国で健康改善活動に取り組んでいます。


【大人の事情と子どもの事情】
 私の場合、高校休学1年という機会が、人生を大きく変える転機であったように振り返ります。チャンスはどこに転がっているのかわかりません。色んな事情はあるけれど、できることなら可能性は広い方がいい、選択肢を狭める必要はない、そう思います。

 "大人はいつも忙しい"、労働力として日本を支えてくれているのだし、仕方がないのもわかるけど・・・。"子どもへの説明が足りない"、説明しても十分理解できないと決め付けていない?"大切な子どもを外に出すことが心配でたまらない"、腕の中では見えないもの、経験や出会いが外にあるとしたら?可愛い子ほど旅をさせてはいかがでしょうか。
リアルから思い描くことができる教育を、親だから、ではなく私たち大人ひとりひとりが社会の一員として子育てに関わっていけたら、もっともっと日本が元気になれると思うのです。


【夢なんかなくても輝ける】
 「夢を持て!」、「夢を追え!」と言われ、できずに苦しんでいる人はどれ程いるのだろう。夢がなくても、生きていくために目標を立て達成するプロセスを歩むことはできる。夢がなくても、幸せに暮らしているという実感もできるのに。
「夢を持て!」という言葉に必要以上に影響を受け、持てないことを努力不足だと誤認し自分を責めてしまわないで欲しい。夢に恋をし、盲目となって不本意な痛みを受けないで欲しい。

もちろん、夢を見つけられた人には目一杯の声援をおくりたい。「おめでとう!これは使命なのかもしれないね、ぜひその夢を追って、食ってやれ!」そうじゃない人におくりたい言葉・・・
「大丈夫、夢がなくても生きていける、きっと輝けるよ。笑顔でいこう!!」

プロフィール
栄養士 太田 旭
青年海外協力隊 24年度2次隊 栄養士
グアテマラ トトニカパン県保健管区事務所
E-mail : asahijica@yahoo.co.jp
twitter : @asagirasol

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