代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「人生の"軸"を作り出すギャップイヤー」小泉さん写真.jpg


小泉恵里奈
(立教大学社会学部4年休学中、現在ホーチミンでインターン中)


はじめに
「このまま流されたくはない」

 そう思って決意したギャップイヤー。私は、ただ反抗心が旺盛で、ちょっと変わっているのかもしれない。確かに大学3年生の秋、周りが「就職活動」を始める中、私は「海外」についてこれでもかってほど、熱中していた。今までの人生の中、初めてレールから外れる決意をした。

なぜ「海外インターン」なのか
 私は現在休学して、海外ホテルのインターンをしています。毎日ベトナム人に囲まれ、仕事をし、遊び、充実した毎日を送っています。

 さて、まず、私がなぜホーチミンで「仕事」にすることを選んだのか、お話しさせていただきます。
動機は主に2つあります。

 一つ目は、日本で「就職し、働く」ことへの疑問。日本社会での労働環境は、世界でも特に、悪い環境と言われています。残業は当たり前、うつ、縦社会、過労死・・少し悪いところばかりを取り上げていますが、私にはこれが全く魅力的ではありません。「このまま就職して、みんなと同じ波に乗り、流される」そんな思い込みが頭から離れず、逃げたかったんです。私の選択は、"きっかけ"は「逃げ」の選択であったのかもしれない。でも、「逃げ」で飛び込んだ環境で、真剣に取り組もうというのも本音です。

 二つ目は、「幸せ」について真剣に考えたかったこと。遡(さかのぼ)ること、2年前、私はカンボジアの田舎ボランティアに参加しました。そこで衝撃を受けました。
 水道も電気も、まともな道路もない、月給も想像できないくらい低い環境で、それでもみんなが「笑顔」で溢れ、「楽しそうに」生きているのです。それに比べて、日本人ってなんでこんなに苦しんでいるのだろう。私の頭には、「自殺」「過労死」「うつ」などが頭をよぎりました。

 そのとき、私の中で確実に大きな変化が起きました。「幸せ」について、インターネットや本を読み漁り、それに関連する社会学、経済学、生き方、本当にたくさんの書籍を読みました。人生全体を考え、真の豊かさとは何かを考え、死ぬときに「自分の人生をどう捉えたいか」を考える。それを考えたとたん、行動せずにはいられなくなりました。

 では、なぜ日本で「逃げてきた」仕事をホーチミンで選択し、従事しているのか。一言で言えば、その「逃げていること」を経験してみたかったんです。私が実際「仕事をする」ことに対して、どのように感じ思うのか。もしかしたら、「逃げている」仕事に関するイメージは、ただの「思い込み」かも知れないから。もしかしたら、すごく楽しいことで、私に合っていることかもしれないから。「一度経験」してみて、自分に合わなかったら辞める。それでも良いと思うんです。


異文化の環境で生活を共にする
 中学から憧れてきた、航空・ホテル業界。そのインターン先を見つけ、真っ先に「これだ!」と思いました。最初は慣れるのに時間がかかりましたが、私の英語に問題はなかったので、今は楽しくお仕事させて頂いています。周りはほとんどベトナム人。仕事環境では、英語での接客の仕方を教えて頂き、プライベートでは、一緒に飲みにいったり、ショッピングに行ったり、パーティーを開いたり・・・。みなさん本当に頭が良くて、ユーモアがあって、フレンドリーです。きっとこの1年間って、すごく貴重で、こんないい人たちと出会えて、この1年が終わってほしくないって、思うくらいです。

 私にはベトナム人の他に、日本人の上司がいます。こちらへ来てから、その上司に否定されてばかり。最初は本当に嫌だと思ってました。ですがだんだん否定されることに慣れてきたり、自分の悪い癖が見えてきたり、感謝する面もたくさんあります。マイナスなものにも、捉え方を少し変えてみれば、プラスの面も見えてくる。

 日本人の上司は、実はこのインターンで、一番私にたくさんのものを与えてくれる。最近やっとそう思えるようになりました。

 また、一つの場所にある程度長く住むと、その文化や生活、人々の考え方がよく見えてきます。例えば、"お金"に関してです。ベトナムと日本のホテルの給料を比べてみましょう。フルタイムのベトナム人を例に挙げてみると、月給約3万円の世界です。日本のホテルは約20万円だとして、ベトナムと日本の給料には7倍の開きがあります。ホテル業界はまだ月給が良い方ですが、ベトナムでの飲食店のアルバイトは時給40円からです。日本では、時給800円だとしても、20倍の開きがあります。このように、お金に関して大きな隔たりがあり、いまだに「豊かな国」とは言えないのが現状です。
 
 また、職場環境でに関して例に挙げますと、日本の職場とは違い、みんな食べ物を職場に持ち込み、仕事中でもわいわい食べています。ベトナム人はおしゃべりだから、大きな声でずっとしゃべるし、仕事が終われば、定時前に帰ります。日本の環境とは全く違ったライフスタイルで、全く違った価値観の中で生きています。

 私はいま、そんな「異文化」のなかで毎日生活し、共に過ごしているのです。


人生の「軸」の重要性
 実際は、楽しく仕事をし、遊び、充実していますが、同時にいま私は「迷っている」まっただ中で、「将来」について、はっきりした道を見いだせずにいる途中です。

 でも、ひとつ心に強く決めていることがあります。「日本の企業には就職しない」ということ。また「逃げ」になってしまうかもしれないですが、「自分が嫌だと思う道」を選択しても、「人生の豊かさ」には繋がらないって、考えます。私の確たる軸は、「人生の豊かさ」で、それに従って生きていくつもりです。たとえそれが、人と違う道であっても、安定がなくても、「人生の豊かさ」を軸に、人生の決断をしていけば、後で自分が後悔しない道を選べるんじゃないかって思うんです。

 私は、ギャップイヤーによって「自分の時間」を作れたからこそ、「軸」を持てるようになりました。これは間違いないと思います。「軸」をつくるだけで、人生の質は変わってくるし、自分の価値観を確立することができると思うんです。一度きりの人生、流されて生きるのだけはごめんですからね!

最後に 
 私は別に何か偉大な業績を残した訳でもなければ、有名な人でもありません。ただの大学生が、ちょっとした勇気と信念を持って、世界に飛び出しただけです。ただ、ギャップイヤーを考えている、高校生・大学生のみなさん、お金と勇気さえ準備すれば、道はきっと開けます!

 その道が「世界一周」でも、「インターン」でも、「ボランティア」でも、はたまた日本で「勉強」するだけのギャップイヤーでも、なんでもありです。いつかやってくる、死んでしまうその日に、後悔しない人生を。今後も軸を大事に、自分を信じて生きていこうと思います。そしていつか、私の生き方が、他の人に「良い影響」を与える日が来るのを目標にして、行動し続けます!

プロフィール
小泉恵里奈
立教大学社会学部4年休学中 
1991年5月7日生まれ。O型みたいなA型。
中学のときから海外へ興味を持つ
大学2年次にカンボジアへ行き、人生の豊かさについて考え始める
大学4年次 ホーチミンでホテルインターン中

好きなこと:社会学/幸福学/精神哲学/心理学/海外/読書/模写/友達/家族

人生の豊かさを軸に人生模索中!

私の考え方に賛同してくれる方、興味を持ってくれた方、
是非ご一報下さい(笑)

twitter: @deby0507
facebook: https://www.facebook.com/erina.koizumi

記事一覧

フロンティア・フォーラムトップページへ戻る

アーカイブ