代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「日本で就職せずに、英国で起業するという選択肢」

藤本太一
(Happiness Architect@英国)

 英ロンドンを拠点にコラボレーションをつくる会社「ハッピネスアーキテクト」代表の藤本太一と申します。現在は定住しない"ホームレス社長"としてロンドンで500人の友達をつくるために日々ホームレスをしております。

 今回、「なぜ日本で就職せずにイギリスで起業をしてホームレスになっているのか」をみなさんと少しでもシェアさせていただき、これからのみなさんのひとりひとりの自分らしい生き方のヒント、そして面白いギャップイヤーの取り方の参考になって頂ければ幸いです。


日本企業で働きたくない、もっと自由に生きたい
 もともと日本の企業で働きたくありませんでした。どうしてもその生き方が、私にとって幸せだとは思えなかったからです。大学3年の終わり頃、みんなが就活に躍起になり始めたとき、私は「海外で一旗あげるんや!」と言って髪の毛を明るく染めました。「外国人って金髪やん!」的なノリもありましたが、就活はしないんやっていう意思表示も込めて髪を染めました。

 そこで、「逃げるならば、とにかく全力で逃げ切る」と徹底して、イギリス大学院への留学を志しました。もともと英語はTOEIC300点以下だったし、特定の分野で優れた才能を持っていなかったので、それは苦労しました。早速、英語力向上に努めようと"勉強"を始めました。同時に留学にかかる費用を捻出するために、アルバイトも増やしてせかせか働きました。

 しかし、英語は勉強して学ぶものではなく使って体得するものだと身にしみて感じたのをきっかけに、まだ大学院から合格通知はもらっていませんでしたが、とにかく2009年にイギリスに行くことを決めました。まず最初の1年間は"語学留学"として、ひたすら外国人の友達とビールを飲む日々を過ごしました。そのおかげもあり、英語力がつき、幸運にも翌年の2010年入学の大学院入学許可が取れ、無事ロンドンのウェストミンスター大学院の「MA International Planning and Sustainable Development」というコースに入学できました。

 現地のひとたちと大学院レベルのプロジェクトをすることは容易いことではなく、泣きそうになりながらもなんとか踏みとどまり、「イギリス大学院留学」を無事修了することができました。


人生初めての起業(自分自身の逃走劇)
 卒業後(正確には少し前)、自分のなかにある強い思い「典型的な日本企業で働きたくない」というところから全力で逃げ切るためにも反対のことをしなければと思い、イギリスで起業することにしました。

 都市デザインを勉強していたこともありますが、ビジネスとはそんなに近くなかったですが、なんとか華麗に逃げ切るためには挑戦し続けるしか選択肢はないと考えました。この起業というチャレンジしていくプロセスは楽しそうでしたし、実際ワクワクしながら未だに活動しております。

ホームレス社長になる
 しかし、やはり「初めての起業」「"英語のホーム"での英語でのビジネス」というふたつのハードルは決して低くはなく、なかなかうまくいかない悶々とした日々を過ごしていました。時間は許してくれるわけもなく、わたしのビザ(Post-Study Work Visaという卒業後2年間もらえるビザ)の期限が迫ってきました。

 ビザがなくなると、不法滞在になってしまうので、日本へ強制帰国させられてしまいます。「あれ?もしや日本に帰らないといけない?」と思ったときに、やはり「もっともっと海外で勝負をしたい」という気持ちは変わりませんでした。

 さて、もっともっとイギリスに残るために何が必要なのか?新しいビザです。やはり立派に起業家としてイギリスに残りたいので、目指すは起業家ビザ。その取得のためには£50,000(約800万円)の資金が必要となります。簡単なことではありません。

 そこでひとつの企画を立ち上げることにしました。それが、フットワークよく定住しない「ホームレス社長」です。真っ向から正規の方法で投資を募ろうと、まず考えそのためにはビジネス・パーフォーマンスを上げ、認知度を上げることが最優先課題となりました。

 わたしのビジネスは「コラボレーションをつくること」。もっともっと良質のコラボレーションをつくるためにはもっともっと多くの人を知らないと、と思いました。そして、それをただ出会いを増やすのではなく、なにか特別な方法でやるべきだ、と思いホームレスになることを決めました。

 定住する家を持たず、ひたすらロンドンを歩き回り人に会う。そして、そのホームレス生活を発信していくことで、みんなに笑ってもらおうと考えています。この生活を通して、500人の友達をつくりコラボレーションをどんどんつくる可能性を伸ばし、起業家ビザの必須条件である£50,000を資金調達する作戦です。


困難という壁があるなら、横から回って裏から見てみるとそれはチャンス!
 まだまだ何かを成し遂げたわけではありません。むしろ私の人生はひたすら逃げ回っているようにも感じます。でも、何事も全力で逃げ回れば、それが新しい道になって明るい光が開けてくるのかな、と感じています。自分の人生は自分のものだけであり、一度きり。だとすれば、なるべく自分の心の声を聞いて何をしたいか、ということに従った方が幸せだし楽しいと思います。

 わたしの場合はキング牧師とは違い、もともと夢はありませんでした。でも「典型的な日本企業で働かされたくない」という思いは、人一倍強かったように思います。それをバネに現在イギリスで起業をし、「ホームレス社長」になるという結果が訪れました。

 わたしは人生を楽しんでます、そう言えます。みんなも世間の常識にとらわれず、もっともっと自由な発想で自分の人生をアートしていくのも面白いと思いますよ、きっと。


プロフィール
藤本太一
Happiness Architect
ツイッター:https://twitter.com/_HappinessArch
フェイスブック: https://www.facebook.com/HappinessArch
公式ホームページ:http://www.happinessarch.co/

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