代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「"ノリと直感"での決断~インドでの9ヶ月間フリーペーパー制作のインターン」1229同志社大学長屋さん写真.jpg

長屋智揮(同志社大学政策学部4年)


■「ノリと直感だけが友達さ」~それいけ、インド!
 「これ、めっちゃワクワクする!」動機は安易であった。

 道の真ん中を悠々と歩く牛の群れ、道ばたに倒れる物乞いの老婆、こどもの遺体をそのまま流すガンジス川。1昨年の大学3年の8月、初めて日本を飛び出し、あふれる好奇心とともに10日間インドを一人旅していた。日本とあまりにかけ離れた環境に、見るもの全てが衝撃的であった。
 「この国で、インド人にもまれながら、もっと刺激的なことがしたい!」そんな想い共に日本に帰国した。帰国後、運命的なご縁があった。「インドでフリーペーパー事業/インターン生募集」。たまたま目に入ったtwitterのツイートに全身が熱くなった。「これ俺のためにあるやん!!」気づけばそこの社長にコンタクトを取っていた。社長とスカイプで話した後、休学して現地で9ヶ月間インターンをすることが決まった。「ワクワク」とした気持ちに歯止めがかからなかった。


■「君の言っていることが理解できない。」~英語を理解されず、相手にされない日々
 まだ厳しい寒さの残る2月、インドのバンガロールへと渡った。私のミッションは、日本人駐在員向けに配布するフリーペーパーの広告営業とその制作であった。そのフリーペーパーのコンテンツは、現地のビジネスや生活情報(レストラン・ホテル等)であった。私がその会社でインターンをし始めた際はまだ事業が立ち上がったばかりで、フリーペーパーというよりは、たった30ページほどの小冊子であった。

 具体的な仕事内容は、現地の会社やレストラン、ホテル等への飛び込み、またはテレアポ営業で広告掲載の契約を取ってくるというものであった。「ここに広告を掲載することによって、これだけのメリットがあって・・」と営業を行う相手はもちろんインド人の経営者ばかりで、全て英語で行わなければならない。営業を始めたばかりの時は、インド独特の英語や表現がほとんど理解できなかった。電話では英語が全く通じず、「Sorry..?Pardon..? I can't get you..(君の言ってることが理解できない)」と言われ、怪訝そうに電話を切られたことも何度もあった。

 さらに、営業先をリストにして一つ一つ管理していくことができずに、仕事がうまく回せず成果が出ない日々が続いた。営業目標とのギャップ、プレッシャーに胃が痛くなりながらも毎日必死に戦っていた。先が見えない中、仕事をはじめて3ヶ月が過ぎた頃から、"インド英語"にも慣れ、ようやく安定して契約を獲得することができるようになってきた。インターン9ヶ月を迎える頃には60社ほどのクライアントを担当するまでになっていた。


■「大型案件がドタキャンされた!」~雨のように振ってくるピンチの数々
 インターンとして最後のフリーペーパー発行の際には、私は制作に関する編集やデザインの大部分を任せてもらえるまでになっていた。制作の仕事は、現地の印刷会社にこもり、インド人アドデザイナーと仕事をした。具体的には、広告のデザインを議論し、イラストレーターを使用して、クライアントのデザインを制作するという仕事だ。大きな裁量権を持ち、その分大きな責任も伴ったが、非常にやりがいを感じていた。しかし、実際に制作を進めていくと、全くうまく行かなかった。

 クライアントから広告用のデザインが送られてこなかったり、音信不通になったりとなかなか前に進まない。挙げ句の果てには、コミュニケーション・ミスによって大きな契約を結んでいたクライアントから契約を破棄され、発行直前にページ構成を大きく変えなければならなくなった。他にもインクのクオリティが悪く、印刷会社と揉めたり、日本語に対応していないPCで文字が化けたりと、数えきれないほどの困難があった。しかし、それらを乗り越え、完成したフリーペーパーを手に取った時は感動で涙が出そうになった。


■ピンチを乗り越えた先にある、仕事の「やりがい」
 振り返ってみれば、数多くの困難があったものの、ここまで続けてこれたのは、やはり大きな「やりがい」があったからだ。大きく分けると、それは三つある。

 一つ目は、自分の行動によって事業が成長していくのをありありと感じられることだ。最初は30ページ程であったフリーペーパーも、インターンが終わる頃には倍の64ページまで増やすことができた。また、隣町のチェンナイでも新しいフリーペーパーを創刊することができ、事業が成長し、拡大していくことに大きな喜びを感じた。

 二つ目は、手に取ってくれた日本人駐在員が非常に喜んでくれたことだ。「フリーペーパーに載ってた店、行ってみたよ。おいしかった」と、自分たちが提供した情報によって、駐在員の皆さんに価値が提供できた時は大きなやりがいを感じた。

 三つ目は、広告を出稿してくれたクライアントが喜んでくれたことだ。あるカバン屋が、「広告を載せてから多くの日本人が店に来るようになった」と言ってくれ、とても感謝された時には何にも代え難い喜びを感じた。


■結局、休学を決めたのは"ノリと直感"
 私は、論理で突き詰めて考えるより、自分の直感を信じてノリで決断するタイプだ(笑)。インドに行ったのも、そこでインターンをするために休学したのも、単に「ワクワクした」という自分の心の声に従った結果であると思っている。逆に論理で突き詰めて、インドに9ヶ月間行くかどうかを考えれば、恐らくそれに縛られて「デメリットが多いのでインドには行かない」という決断をしていたかもしれない。心から「ワクワクする」世界が目の前に広がれば、そこに飛び込む論理的な理由なんて後付けでもいいと思っている。ぜひ、これを読んでいる皆さんも「ワクワクすること」に飛び込んでみてはどうだろうか?気づけば、決断が「正解」であったと実感することができると思う。


※ご質問やご意見がございましたら、お気軽に私のFacebookまでご連絡下さい。

プロフィール
長屋智揮
同志社大学政策学部4年 1991年11月30日生まれ。
Facebook:Tomoki Nagaya

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