宮﨑大輔
青年海外協力隊パナマ共和国派遣
「青年海外協力隊には、社会人経験がないと参加できない」と勘違いをされている方も多いですが、実際には大学を卒業したばかりの新卒や大学院を休学して参加する学生も多くいます。そのため、新卒や休学して参加した隊員にとっては「青年海外協力隊は2年間のギャップイヤー」ともいえるでしょう。
私も大学院を卒業後に新卒で青年海外協力隊に参加し、すでに派遣されてからおよそ一年が経ちました。実は私の協力隊生活は「いきなり上司からクビ宣告を受ける」という波乱万丈なスタートとなりましたが、なんとかクビにされる危機を乗り越えることができ、現在も活動を続けています。
「なぜ、私はクビにされる危機を乗り越えることができたのでしょうか?」その理由を振り返ると、私を支えてくれた原体験はすべて大学生活にあることに気がつきました。そこで大学入学までさかのぼって、過去のジブンに「今だから伝えられるメッセージ」を送りたいと思います。このメッセージが、これから青年海外協力隊を目指す学生の皆さんの参考にもなれば幸いです。
大学に入学したあなたへ
入学おめでとうございます。
あなたはこれから大学で、毎日つまらない講義を受けます。
つまらないバイトをして、つまらないサークルに入ります。
「なぜ、大学に入ったのだろう?」と悩み始めます。
生まれて初めて、ジブンの人生に意味を見出そうとします。
しっかり悩んでください。
大学に入った意味を考えること、それが大学に入った意味です。
あなたがつまらないと嘆く講義を熱心に聞いている友人がいます。
つまらないサークルを楽しんでいる友人がいます。
つまらないバイトで汗を流している友人がいます。
一刻も早く気づいてください。
大学生活がつまらないのは、あなたがつまらない人間だからです。
ある日、あなたはその事実に気づきます。
そこから、本当の大学生活が始まります。
講義を受けて、「専門知識」を学んでください。
いろんなバイトを経験して、「社会の仕組み」を学んでください。
サークルに入って、「コミュニケーション能力」を学んでください。
研究に没頭して、「分析力」を身につけてください。
興味を持ったことに挑戦して、「行動力」を身につけてください。
ヒッチハイク、ボランティア、バックパッカー、学生団体、イベント企画、商品開発、何でもやりましょう!
失敗もたくさん経験しますが、それも無駄ではありません。
すべての経験が、未来のあなたを支えます。
あなたはさらに専門性を身につけるために大学院へ進学します。
そして大学院を卒業したら、なんと青年海外協力隊に参加します。
海外もボランティアも嫌いなあなたには信じられないでしょう。
「そんなことは0.0001%くらいの確率で、奇跡でも起きない限りあり得ない!」
とあなたは思うでしょう。
0.0001%の奇跡が起きます、それが大学です。
青年海外協力隊に参加したあなたへ
あなたは中米パナマ共和国に青年海外協力隊の野菜栽培隊員として派遣されます。
パナマの農牧省に農業技師として配属され、農民の生活を改善するために働き始めます。
しかし最初の半年間は日本で学んだスペイン語が通用せず、活動がうまくいきません。
その様子を見たパナマ人の上司から「お前なんか役に立たないから、日本に帰れ!」とクビ宣告を受けます。
言い返したくてもあなたは「ボク、ココデ、ハタラキタイ」としか言えませんし、見せつける活動の成果もありません。
このままではあなたはクビになります。
状況を変えるために、まずはジブンを変えましょう。
スペイン語が上手に話せないあなたには、活動するためにもっと時間が必要です。
活動する時間を作るために活動先の農村に泊まり込みましょう。
コミュニケーション能力を生かして、農民と信頼関係を築きましょう。
そして、分析力を生かして農民が困っていることを調べましょう。
困っていることが見つかったら、専門知識を生かして解決方法を考えましょう。
解決方法が決まったら、行動力を生かして農民と一緒に問題解決に挑戦しましょう。
クビ宣告をした上司に活動の成果を伝えると、彼はあなたの強い味方に変わります。
あなたが変われば、周りも変わります。
これから青年海外協力隊を目指す学生たちへ
大学に入った意味を考えること、それが大学に入った意味です。
大学生活がつまらないのは、あなたがつまらない人間だからです。
すべての経験が、未来のあなたを支えます。
0.0001%の奇跡が起きます、それが大学です
状況を変えるために、まずはジブンを変えましょう。
あなたが変われば、周りも変わります。
「世界も、自分も、変えるシゴト。」
これが青年海外協力隊のキャッチコピーです。
世界を変えるために、これからもジブンを変える挑戦を続けましょう。
2014年7月 パナマ共和国にて。
※JGAPからのお知らせ
宮崎さんのブログの「ボクのおとうさんは、ボランティアというやつに殺されました。」は話題となった。
これまで世界178ヶ国からアクセスがあり、102万回のPV(閲覧ページ)があった。
facebookの「いいね!」の数も、7万9,000回と驚異的だった。
→http://jiburi.com/seigi/
プロフィール:
宮﨑大輔
青年海外協力隊・野菜栽培隊員(2013年6月~2015年6月)
信州大学大学院農学研究科の修士課程を修了後、新卒で青年海外協力隊に参加。
院生時代は夏でも収穫できるイチゴの品種改良を行い、特産品化を目指す農家に栽培指導をしつつ、実家の宮﨑農園産リンゴを使った「手ぬぐいリンゴジュース」をプロデュースし、六本木ヒルズ等で販売した。
現在は中米パナマ共和国で、電気も水道もない村に暮らす子供の栄養状態を改善するために、農民たちに野菜の育て方、食べ方、売り方を教えている。
Blog:http://jiburi.com/
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