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日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「大学新卒3年で3割が辞める『早期退職白書』とギャップイヤーから想うこと」井上さん写真.jpg

株式会社カイラボ 代表取締役
一般社団法人プラス・ハンディキャップ 理事
井上洋市朗

 2012年の1年をかけて「新卒入社の会社を3年以内で辞めた人」100人に対面インタビューを実施し、その結果を「早期離職白書」にまとめました。

 私がインタビューした方の中でも大手企業を3年で辞めて、海外へ留学をしたり、バックパッカーとして旅行をしたりしている人は何名かいました。ちなみに私自身も新卒入社の会社を2年ほどで退職し、そのあと数か月間ですがフリーターをしていたことがあります。(これもギャップイヤー?)

 また、早期離職者(新卒入社の会社を3年以内で退職した方)の中には自分でベンチャー企業を立ち上げたり、NPOに転職するというパターンの方もいました。もちろん、同じ業界の違う会社に転職するという方も少なくはありません。

 会社を辞めてから次の仕事につくまでの間をどう過ごすのが正解なのか、私にはわかりません。そもそも正解などないと思います。

 ギャップイヤーを取得することが良いことなのか、悪いことなのか私にはわかりません。ただ、ネガティブな感情で会社を辞めてほしくないなと思っています。

 私が100人インタビューをした際のデータですが、早期離職者の約7割が退職した企業に対してネガティブな気持ちで退職しています。ポジティブな気持ちを抱いた状態で辞めたのは2割です。残りの1割は「どちらでもない」という回答でした。

 早期離職は単純に良い、悪いと言えるものではありませんが、ネガティブな感情で辞めている人が多いという現状は、個人的には問題が多いと考えています。ネガティブな感情で辞めた人の約2割はうつ病などの精神疾患ですし、会社側にとっても今後のさらなる人材の退職が進む可能性が残ります。ですから、少しでもポジティブな退職が増えてほしいと思っています。

 さて、ギャップイヤーとの関連ということでお話しすると、先ほど書いた通り、私はギャップイヤーが良いものか悪いものかわかりません。東大など一部の大学が、新入生全員一律に半年のギャップイヤー取得というような案が出たことがありますが、それには反対の立場です。それは、早期離職が単純に良いものか悪いものかという議論ができないのと同じように、人によってギャップイヤーが良いものになるのか悪いものになるのかは違う可能性が高いからです。

 また、一度就職してから退職して留学などをするギャップイヤーについても同じです。

 人それぞれにタイミングや効果は違っているはずです。だから、ギャップイヤーを経験して満足するとか、経験できなかったから劣等感を感じるとか、そんな風にはなってほしくないなと思っています。

 自分の決断に自信を持てれば、多少回り道しても必ずよい結果がめぐってくると私は信じています。

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プロフィール:
井上洋市朗
株式会社カイラボ 代表取締役
一般社団法人プラス・ハンディキャップ 理事
ツイッター:@yoichiro_i
『早期離職白書2013 3年で辞めた若者たちの本音』
http://kailabo.com/whitebookmain/

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