代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「念願の会社を休職ではなく、退職。"日本で一番役に立たない公務員"としてネパールに行く理由」川喜田さん写真.jpg

川喜田 敬
青年海外協力隊・コミュニティ開発隊員(2015年~2017年)


「君たちは日本で一番役に立たない公務員なんだからな」
この「日本で一番役に立たない公務員」とは、青年海外協力隊のこと。
国民の税金で仕事をさせていただくという意味では公務員。
でも、その舞台は日本ではなくて途上国。
だからこそ、長期的には必ず日本にその経験を還元しなさいと言う意味で、事前研修の講師の先生が冒頭に仰った言葉です。

そんな「日本で一番役に立たない公務員」である、青年海外協力隊のコミュニティ開発隊員として、私は2015年の夏から2年間、ネパールに赴任します。
新卒から3年間、お世話になった会社を退職しての参加です。
学生時代からずっと入りたかった第一志望の会社でした。

この時点で「じゃあなんでたった3年で辞めるの?」って思うかもしれませんが、さらにもう1つ。
実は会社には青年海外協力隊用の休職制度もありました。
2年間不在にするにも関わらず、給与も賞与も満額支給されるような非常に手厚い制度です。
尊敬する上司から紹介してもらい、制度を使って行って来いとまで言ってもらいました。
しかし、選んだのは「退職」でした。

なぜ、青年海外協力隊になる道を選んだのかと合わせて、なぜ休職ではなく退職を選んだのかを書いていきます。


◆「途上国で事業を興したい」に合致した、日本で一番役に立たない公務員制度
初めて途上国に行ったのは21歳の時。行先はカンボジアでした。
19歳の時にオーストラリア・シドニーへの約1年間の留学を終えて、ますます世界を見てみたくなった私がなんとなく選んだカンボジア。
(留学の話は興味ある方はこちらを見てください)
http://kei-lmnop.com/2014/07/the-reason-why-i-studyabroad/

すっかり途上国の人々、文化、可能性に魅了されてしまった私は、社会人になってからも毎年1回はアジアに足を運びました。
一方で、会社生活の中で芽生えてきたのは、「自分で事業をやってみたい」という想い。
そんな中で飛び込んできたのが、「青年海外協力隊」という選択肢。
調べてみると、自分の想いに見事に合致していることが分かりました。

(1)2年間手当をもらいながら途上国に住み込むことができる
(2)地域の課題発見から解決までやる「コミュニティ開発」という職種で、事業の種を探すことができる
(3)同じような想いを持っている仲間や先輩に出会える

「途上国で事業を興したい」という想いに適した制度は、これ以上ないと断言できるくらい、魅力的でした。


◆20代後半になった「今」、「本気」でやってみたい
一方で、途上国で働くということだけを見れば、今の会社に勤めていればチャンスは必ず来ることも分かっていました。
でも、分からなかったのは、それがいつになるかということです。
いつ来るか分からないチャンスに備えることも大事ですが、自分からチャンスを掴みに行くことの方が大事だと思いました。

また、やるなら「本気」でやりたい、「本気」でやらないと叶わないという想いもありました。
ミドリムシで有名な株式会社ユーグレナ創業者の出雲充さんも、著書の中で印象的なことを仰っています。
"安全圏に身を置きながら、本気で何事かに取り組むことはできない。"

休職制度は素晴らしい制度。使わない手はない。
でも、私は弱い人間です。会社に守られながらでは、どこかで甘えが出てしまう。
そんな気持ちでは、事業の種は見つからないと思いました。
会社を辞めることは怖いことだけれど、それ以上に「本気」で挑戦したいという想いが勝りました。


◆自分の道を貫くことに人生の価値がある
「途上国で、事業を興すことに本気で挑戦したい」。
これが私が第一志望だった会社をあえて退職してまで、青年海外協力隊としてネパールに行く理由です。

最後に、読んでくださった皆様へお伝えしたい事を書いて終わりにします。
それは「人と違う道を取ることを恐れずに、自分の道を貫こう」ということ。
このエッセイ集を読まれている方は、きっと人と違う道を取りたいと思っている方ばかりだと思います。
留学だったり、旅だったり、起業だったり。
やりたい気持ちがある一方で、人とは違う道を取ることを不安に思う気持ちもあるはずです。

でも、そこで負けずに自分の気持ちに正直になって、想いを貫いてほしい。
たった1度の人生です。成功しようが失敗しようが、自分だけの道を歩もうとすることに価値があります。

"自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。
どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。
自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。"
松下幸之助「道」

人との間にギャップをたくさんつくることが、自然と自分だけの道につながっていく。
私はそう信じて、これからの人生を歩んでいきたいと思います。


プロフィール:
川喜田 敬
1988年生まれ。神奈川県出身。
青年海外協力隊・コミュニティ開発隊員(2015年~2017年)

早稲田大学在学中は、オーストラリア・シドニーへ約1年間の交換留学。
帰国後、少しでも留学に行く人を増やしたいという想いから、留学支援のボランティア団体の代表として活動。
(早稲田大学学生留学アドバイザー: http://www.cie-waseda.jp/jp/sa/events/
卒業後、念願であった電機メーカーに就職し、人事として3年間勤務。
2015年3月に退職後、2015年6月から青年海外協力隊のコミュニティ開発隊員として、ネパールへ派遣。

Blog:「過去は変えられない。でも価値は変えられる。」http://kei-lmnop.com/
Twitter:@Kei_LMNOP https://twitter.com/Kei_LMNOP

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