代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「僕が公立高校からマレーシアの大学に進学する理由~自信をくれたのは、人と違う体験」白鳥さん写真.JPG


白鳥 潤
(静岡高校卒業 ※8月からSunway University入学)

「僕が大学生として勉強しに行くのはマレーシアです。インドネシアではありません。」

 同じようなことを今までで何回も言ってきました。ただ、誤解するのも無理はないと思います。僕はAFS(American Field Service)という高校生留学支援団体にお世話になって、高校2年生からの1年間、インドネシアに留学していたからです。

 また、学校側が、「留年をしなくても高校3年生として帰国する」、つまり単位互換制度でインドネシアでの単位を日本の高校で認めてくれ、進級できました。それで、日本の高校を1年生と3年生の期間の2年間とインドネシアでの1年(高2扱い)の計3年で卒業することができました。その許可を受けた時、「ちょっと、日本の大学に行くのはもったいないかもしれない」と感じ始めていました。

 当初インドネシアに行きたかった理由としては、
・ 英語以外の言語をやりたい
・ 勢いのあるアジアに行きたい
・ 近いので留学後もすぐ会いに行ける
といったものがあり、また何より高校生のうちに留学することによって本当の家族のようになれるのではと思っていたからです。

 留学中、僕は10人もいる大ホストファミリーの家にホームステイし、1年間ホストブラザーと一緒に現地の高校に通っていました。インドネシアでは日本と同じく、基本的に英語が通じません。もちろん、最初はインドネシア語なんてほとんど分かりませんでした。挨拶と自己紹介をしたらもう終わりで会話が続きません。ましてや高校レベルの授業を理解するなんて・・。

 そんなわけで、正直最初は留学したことへの後悔をする日々が続きました。周りが気を遣って英語で話しかけてきてくれても、当時の僕は英語もそれほどできなかったので、会話が弾むわけもなく孤独でした。

 いろいろな人が居ました。最初こそ興味本位で話しかけてくるが、話が通じないと思うと、話しかけてこなくなる人。気を遣って常に英語でしか話しかけない人。そして、カタコトのインドネシア語を話す僕に、いつもフレンドリーに話しかけてくれた人・・・。

3ヶ月間耐えました。

 その間、毎日毎日B5サイズほどある分厚い、インドネシア語―日本語辞典と格闘しました。100ページ以上あるその辞書は今見返すと、ほぼ全てのページにマーカーが引いてあります。

 その後は、暗いトンネルから出たように視界が広がり、もう楽しくて仕方ありませんでした。授業でも皆が難しいと言っているところを僕は理解できることがあり、ついには友達に勉強を教えるところまでいきました。友達とは込み入った話や深い話をすることもできるようになりました。

 思えばここで決心がついたんだと思います。

海外の大学に行こう・・と。

 大学にマレーシアを選んだ理由は 
・ アジア圏でしかも首都クアラルン・プールでは英語が通じる
・ 第一言語であるマレー語はインドネシア語の母体であるので、ほとんど通じる
・ 多くの文化が共存しており、日々の暮らし自体がグローバル
などです。

 インドネシアでの大学進学も考えたのですが、英語を使ったとしても不十分だということと、何より、既にインドネシアでの生活に慣れてしまっているので、新鮮味なくダラけてしまうのが懸念だったからです。

 僕が8月に入学予定のSunway University という大学は、学生の4分の1が留学生です。キャンパス内ではもちろん英語を使いますが、外では、地域に密着したManglish(Malaysian English)を使いたいと思っています(笑)。

 思えば、帰国後の高校3年生の夏。インドネシア留学前とはまるで雰囲気が違いました。周りは有名大学を狙って勉強を既に本格的に始めている。一方、僕は2年生の夏から日本の勉強は何もしていない。ただ、大学に入るためには高校での成績が重要だと知っていたので、必死になりました。3年生の夏休みには受験生以上に頑張ったと思っています。

 そして無事、そこそこの成績を残すことができました。ただ、もちろん海外留学といったらTOEFLが必要。学校の勉強と並行して、英語も死に物狂いでやりました。日本で「英語できるね」レベルでは足りないということを留学を通して感じてました。留学中、インドネシアに欧米諸国から留学していた同じくらいの歳の同期が2、30人ほど居たのですが、彼らと英語で会話が続かなくて悔しい思いをしたからです。

 TOEFLの勉強を始めて4ヵ月後、2回目に受けたテストで80点を取ることができました。なぜかは分かりませんが、インドネシア語という一つの言語が出来るようになった後は、英語の勉強につまずくことが本当に少なくなりました。語学には共通の"コツ"のようなものがあるのでしょうか。

 1年間高校時代にインドネシア留学をした経験、1年間の日本の高校での勉強のブランクを埋めた経験、受験期の中、一人TOEFLを頑張って勉強した経験、そしてこれから大学生としてマレーシアで勉強する経験・・・。この中のどれをとっても、人と違うからこそ自分に自信をくれる、かけがえのない大切なものなんだと心の底から思うようになっています。

プロフィール:
白鳥 潤
1997年静岡県生まれ。今年3月静岡県立静岡高校卒業。
2015年8月よりマレーシアのSunway Universityに入学予定。
Twitter: @realtimechicken
Facebook: https://www.facebook.com/jun.shiratori.mkmr

記事一覧

フロンティア・フォーラムトップページへ戻る

アーカイブ