代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「僕の学生時代とギャップイヤー」孫さん写真.jpgのサムネール画像


MOVIDA JAPAN 株式会社(モビーダジャパン株式会社)
代表取締役:孫 泰蔵

 高校卒業生が大学就学前の1年をめどにテーマをもってボランティアやインターン、国内外留学をして過ごす「ギャップイヤー」という文化が英国では定着しているそうだ。このギャップイヤーについて英国在住のKaori Imotoさんがレポートを書き始められたので、ご興味のある方はぜひ読んでみてください。 (ご参考:http://japangap.jp/info/2012/12/-jgap-2.html)

 英国の大学はもちろん、ハーバード大学やMITなどもこのギャップイヤーを大学を志望する学生に推奨しているらしく、日本の大学もぜひ奨励するべきだと思う。

 

 僕は大学3年生の時に会社を設立して起業したのだけれど、その時は「1年間の期間限定」でやることに決めていた。まだその道でやっていけるかどうか不安だったし、期日が来れば終わるんだと決めていたことで気が楽だった。そして何よりも期間を限定したことで毎日が時間との戦いになり、とても充実した一年間を過ごすことができた。今振り返ってみると、あれが僕にとってのギャップイヤーだったのだなと思う。

 結果的には仕事がおもしろくなって卒業後もそのまま続けちゃったけど、実際に会社を経営し始めると、東大の経済学部経営学科で学んでいた知識だけではまったく通用しないことに愕然とし、教科書や関連図書など役に立ちそうなものがあれば片っ端からむさぼるように読むようになったことを覚えている。あの愕然とした体験があったからこそむしろ学業にも身が入るようになったのは、まぎれもなくギャップイヤーの効用だ。

 高等教育においては、単なる知識の詰め込みではなく体験を通じて行動力を身につけることがすごく重要で、ギャップイヤーはそういう教育の一環として有効なプログラムになりえると思う。僕も微力ながらこの文化を啓蒙していきたい。

 余談だが、当時僕は起業に専念したくて大学に1年間の休学を申し入れてみたのだが、教授会からはダメだとあっさり却下されてしまった。「そもそも休学とは健康上の理由などやむを得ない時のみ認められるものであり、起業は君が勝手にやってることなので休学は認められない」というのが却下の理由だった。

 起業体験は経営学という学業にも寄与するのだし、経営学科に所属する僕なのだから単位を認めてくれとまでは言わないけれど、せめて休学を認めてもらえませんか、と再度かけあってみたがそれでもまったくダメだった。その結果、僕は大学に1年間ほとんど足を踏み入れず大学の設備やサービスをまったく利用しなかったにもかかわらず、結構な額の授業料を払っただけでなく、授業に全然来ないということで評価も劇的に下がってしまった。

 もちろんそのことについて文句をいうつもりは全くない。成績や評価が下がったって、ゼミの先生に嫌われて無視されるようになったって、それがなんぼのもんじゃいと思っていた。何人たりとも俺の人生に制限をかけることはできないと反骨心だけは当時から一人前だった(笑)

 でも、当時の東大経済学部の教授会はセンスがないなあと僕は今でも思う。

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