代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「新卒でベンチャー企業に就職(入社)してから6ヶ月たって学んだこと」オフィス写真.jpg


小林 由季(福祉系コンサル勤務)


 もうすぐ12月。2015年度卒の学生さんの就職活動が本格的に始まる時期がやってきました。

 20代そこそこの学生にとって、就職活動は大きな人生の岐路になります。人生の中で大きな買い物をするような、決めようにも決められない心境を抱いている人も多いはず。

 今日は、特に新卒からベンチャー企業へ就職を考えているガッツのある学生さんに、自分の体験が少しでも参考になれば幸いです。
*あくまで一個人の体験談なので、全てを鵜呑みにはしないで下さい。


■ ベンチャーは人が全て
 私の経歴と少し変わった就職活動を行った経緯は過去の記事で紹介させて頂きました。
運良く社長と上司に拾ってもらい、ちょっと変わった事業を行う会社に"新卒001号"で入社することに。

入った会社は主にはB to B向けのサービスなので一般の方には目に触れる機会は少ないですが、
例えば

① 国の政策作りに関する研究・調査
② 障害者雇用を考える企業様への戦略立案も含めたコンサルテーション
③ 福祉事業所向けの経営改善や商品開発のコンサルテーション

他にも「生きづらさを抱えた人達がイキイキ働ける場作り」の事業モデルを考える
という事業の軸があり、全国に渡る事業案件を少人数で走らせながら行っています。

 ベンチャーというとIT関係(アプリやASPなど)のイメージを抱く学生さんも多いかもしれませんが、色んな仕事がこの世の中にはありますね、本当に。

 "新卒1号"で入ってから半年で社員が4倍になりました。数人の社員から急拡大する組織の過程を肌で感じる中で、楽しい事も苦しい事も、組織が拡大する中で必ずどのベンチャーも通るであろう困難や壁も若いうちにちょびっとですが経験させてもらったことは何事にも変えられない宝になりました。

 数百人、数千人いる大企業の中の1人の社員の影響と、数人・十数人の中の1人では、全く意味合いが違うということも。良い悪いではなく、そもそもの仕事のやり方やスタンスが違うんだと。

 この前提を頭の片隅に少しでも理解しておくと、「ネームバリュー」や「成長したいから」うんぬんを目的とする学生さんが、就職してからの悲しいミスマッチングは避けられるんじゃないかと思います。


■ 柔軟性と体力
「走りながら作る。修正しながら走る。」 

 サーフィンやギャンブルが苦でない人は、ベンチャーに向いていると思います(笑)

  少人数の組織の良さは圧倒的な「スピード」と「柔軟性」。昨日決まった事が、次の日に(皆の知らない各々の現場やクライアントとの話で 等)変わることが良くあります。大企業でこれをやったら莫大な損失になるので、物理的に厳しい。

その分、事前にじっくり計画を立てて・・・とやってると、その計画が実現される可能性は9割がた無い。なので準備してたことが水の泡になることもしょっちゅうあります。

 勉強も参考書の1ページ目から始めないと気が済まない人や、予測不可能なことが苦手な人は、就職してから凄くフラストレーションがたまるかもしれません。 「早く成長したい」人でベンチャーを目指す人は大企業でも成長出来る環境は沢山あります。


■ 思いやりと調整力
「組織と現場のバランス感覚」

 フリーランス的な小規模のプロジェクトチームで動いていると、周りの仲間(特に他チーム)がどんな仕事をどこまで完了しているのか全く分からなくなることがありました。ヘルプを出したくても周りに助けてくれる人がいない。助けたくても仲間が何をやっているのか分からないから助けようがない・・・・といった矛盾。

 スタートアップ(数名)から組織が大きくなる過程(十数名、数十名)になるときに、仕事のやり方が180度代わったという感覚を生じます。

 フリーランス的な働き方ができるのは6~7名までというのが実感知。
10名を超えると"組織"が必要になり、"上司ー部下"の意思決定の順番を誰かに横入りされたり崩されると末端の現場は混乱に陥ります。

「誰の言う事を聴いたら良いんだ?」「AとBは異なる意見を言っているがどっちが正しいんだ?」と。

また指示をトップに上げ、現場に指示が下りてくるまでもタイムラグが発生するようになり、対応が遅れる場合も。

 そんなときこそ、個々人の調整力や判断力が重要になってきたりします。
意思決定を混乱に陥らせないために組織図の順序を守る一方で、現場の中で、他の仲間がどんな仕事をしているのか?ピンチなのか好調なのか?
を意識し、現場だけで解決できるようなチームワーク力も試されます。

 意外と挨拶や「大丈夫?」といった、ちょっとした声かけを普段から行い、ピンチのときに「助けて!」と言いやすい環境づくりが本当に大事なんだと実感することもしばしばでした。


■ 組織と個人の違い
「フリーランスで生きるか組織で生きるか」

 数人から十数人の組織に急激に拡大する過程を間近で経験させてもらい、組織が大きくなる過程で必ずぶつかる問題やブレイクを肌で体感することができました。
  詳しくはこの本が参考になるかもしれません。個人事業主から組織になる過程で訪れる壁や乗り越え方が漫画形式でのっています。

コミック版 はじめの一歩を踏み出そう 成功する人たちの起業術
コミック版 はじめの一歩を踏み出そう 成功する人たちの起業術 [書籍]
著者: 小牧 成
出版社: 世界文化社
出版日: 2013-09-06
ISBN: 4418136010

 フリーランス的な働き方と組織で働く働き方は全く異なります。
どちらもメリット・デメリットがあり、頭で思っている以上に実際に働いてみると、、いや本当に違いました。

 少人数規模の優秀なプロジェクトチームが必ずしも組織になったときに、上手く同じように動けるか?というとそれは比例しないんです。
優秀な人が集まり、仕事が出来ない人を排除すれば、必ずしも優秀な組織になるなんてことはあり得ない。

「出来ない人でも出来る仕組み」
「代わりの人でも出来る仕組み」
「誰かがいなくなっても回る仕組み」

が出来て初めて組織として機能し始める。

仕組みの構築と規模の拡大のスピードのバランスがとれず、一方だけが先走りするとこれまた混乱が生じる。
うーん、組織って違う生き物がいるみたいです。

仕組み仕組みゆーけども、この仕組みの中身がまた厄介。口で言うのは簡単、やるのは困難。またこの辺りは別記事で。


プロフィール:
小林 由季
岡山県立一貫中・高校に進学 ↓ 14歳の時に病気が発症。 中学2年時より約7年に及ぶ入院生活が開始。 病院の中の学校 院内学級で2年間 義務教育を受ける ↓ 治療の目処が立たないことを理由に一度退院。 諸事情により家庭で過ごせなかったので 人生絶望期に山の中に逃亡と修業(九州の島の近く) 恩師との出逢い。人生の這い上がりを決意。 高校休学/留年。 入院再開 16歳 大検(現:高校卒業程度認定試験)取得。神戸大学に現役合格 。卒業後、福祉系コンサル事業に従事。 人生這い上がり術を研究中。

2011年12月18日 エッセイ集 フロンティア・フォーラム No22:「世界にたった1つの"人生ドラマ"を創ろう」 小林 由季さん(寄稿当時、神戸大学発達科学部3年)
-→http://japangap.jp/essay/2011/12/-3-sns-1-1452.html

「這い上がり奮闘記!」 http://haiagari.com/%e6%96%b0%e5%8d%92%e3%81%a7%e3%83%99%e3%83%b3%e3%83%81%e3%83%a3%e3%83%bc%e4%bc%81%e6%a5%ad%e3%81%ab%e5%b0%b1%e8%81%b7%ef%bc%88%e5%85%a5%e7%a4%be%ef%bc%89%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%8b%e3%82%89%ef%bc%96/


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