代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「3.11南三陸との対話~もう一つの家族への感謝」谷口さん写真.jpgのサムネール画像

谷口優太
明治大学商学部4年
HLAB東北2015実行委員長/元・きずなインターナショナル代表(3代目)/ワシントン大学留学中/@シアトル


「卒業式はあると良いね」

入学式中止の通知をパソコン画面で知った母は、すこし残念そうに、何度も呟くのだった。

「東京は地震で大変だろうけど、頑張ってね」

上京する前に大人たちは、励ましなのか、嘆きなのか分からないような餞の言葉をかけてくれた。「無くなった入学式は戻ってこないけど、実りのある大学生活する。きっと」という上京する日に自分と交わした約束は、未だに私の中にある初心を思い出させてくれる。


「困っているんです、力を貸してください」

ふと立ち寄った大学のボランティアセンターで出会ったのは、少し猫背の背中にダッフルコートを羽織った一人の学生だった。彼が「きずなインターナショナル(注1)」の前代表、日高雅人(注2)。まだまだ捨てきれない自尊心と、満たされない自己承認欲求を抱えていた19歳の自分は、母から常々言われていた謙遜さの大切さなど忘れ「できますよ」と、少し傲慢に返事をした。


「私が"育自分休暇制度"を利用してボツワナにいる理由」長山活動写真.jpg

長山 悦子
青年海外協力隊員@ボツワナ共和国

 退職しても6年以内なら会社に復帰できる「育自分休暇制度」を利用し、青年海外協力隊員としてボツワナで2年間のボランティア活動をしています。会社を辞める決断をした理由、ボランティア活動で得られたメリットについてお話します。


■ふとした思いつきから、20代最後の2年間をボツワナ共和国で過ごすことに
 「会社を辞めて、途上国で2年間のボランティアをしよう」と決めたのは、正直なところ、"なんとなく"でした。もちろん昔から途上国には興味・関心があったし、理系の化学者コースをドロップアウトして文系の国際協力大学院に進学もして、青年海外協力隊の説明会にも行ったことがありました。でも、当時20代後半、社会人3年目の私には「絶対に行かなければならない理由」はなかったんです。会社が好きだし、自分の仕事にやりがいがあって、お客様にも思い入れがある。ボランティアも趣味でやっていて、日本の田舎をPRする活動を3年続けていました。仕事を辞めたいわけでもなく、途上国の人たちの役に立ちたい!という熱い思いがあるわけでもない私が、なぜ20代最後の2年間をアフリカのボツワナ共和国で過ごすことになったのか。そのきっかけは、会社帰りにふと浮かんだ「思いつき」からでした。


新着:「東大中退のドロップアウトエリートの描く、エシカル、プロボノ、"働く"と"働かせる"のフェアトレード」稲葉さん写真.jpg



稲葉 哲治
「『エシカル男子の会』をつくる会」代表


1)ドロップアウト→ニート→コンビニ→天職との出会い
 私は世間でいう「開成中学、高校、東京大学」と、いわゆる"エリートコース"を歩んできたのかもしれません。しかし、大学で先のレールが見えて飽きたというか、周りの友人も長い仲だと小学校の塾から、多くは中高大と一緒で、下手をすると将来の仕事も省庁や大企業で一緒かもと思うと嫌気がさしました。こんな内輪にいて世界が変えられるのかと・・・。

 もちろんそれだけが理由ではないですが、東大を中退し、街をフラフラして過ごしていました。ほぼニートですけど、ギャップイヤー期間ともいえると思います。

 25歳になって日銭稼ぎをと、コンビニでバイトを始めました。1個50円のコロッケを売って、商売を知りました。そうこうしているうちに社員並みの仕事をするようになり、バイトの高校生などの面倒もみるようになって、「人」に関わる仕事って面白いなって感じだしました。

 28歳で就活をした時には、本当は本に関わる仕事がしたくて出版社に内定をもらったのですが、突然セゾングループの人材会社の常務によばれて、「新規事業をやりたい、スーパーで惣菜を作る人材を教育したい。一緒にのり巻きを巻かないか。」と誘われました。

 直感的に「やります!」と答えましたが、運命の一瞬でした。思いもよらない仕事でしたが、振り返れば天職との出会いでした。


2)社内ベンチャー→起業→パラレルキャリア
 セゾンの会社では、新規事業をどんどんやらせてもらえました。NPOとの協働で若年無業者やシングルマザーの就労支援もしたし、キャバクラの研修なんかもやりました。

 そんな中、私鉄の駅ナカコンビニのアルバイト採用・管理の受託事業を企画していたら会社が合併してしまい、他の企業に移管して社内ベンチャーとして立上げました。事業責任者として死ぬほど働き、半年休みはなくて月の残業は200時間超。きつかったけど自分で作った事業なので、子供の面倒をみるようで楽しかったです。

 ただ、事業が落ち着いてきたときにもうちょっと広がりのあるサービスをしたいと思い、友人と起業しました。「若者が楽しく働くしくみづくり」をテーマに、学生団体と協働して、カフェに企業をよんで話をしてもらう「逆指名会社説明会」などを行ったりしていました。でもやりたいことはなかなか収益化せず、別の人材事業で収益を得る実情だったので、これはライフワークとライスワークを分けて活動したほうが双方安定するのでは、と思って、また会社員に戻って人事や人材コンサル等の仕事をしています。パラレルキャリアというか、ハイブリッドキャリアです。


3)学生たちに教えられた「エシカル」→EDAYAの「プロボノ」へ
 ライフワークの柱としては、EDAYAというエシカルアクセサリーブランドのプロボノをしています。「エシカル」はフェアトレードを行う学生団体に関わって知りました。学生のみんなからは、新しい社会潮流を教えてもらうことが多くあります。

 EDAYAはアクセサリーブランドという面だけでなく、文化継承や地方創生という広い幅をもつプロジェクトです。そんな点が気に入ったのと、代表の山下彩香さんと気が合ったのがもとで、プロボノとして営業や渉外などを担当しています。


4)「『エシカル男子の会』をつくる会」設立
 EDAYAや学生たちとの活動を通じてつくづく思ったのが、社会は変わっているし、それに応じて女性(やLGBT)は変化していく、でも男性は旧態依然、ということです。

 エシカルブランドも代表はほぼ女性、お客さんも女性。プロボノやパラレルキャリアといって興味をもってくれるのも女性が多い。性についても、妊活やリプロダクティブライツなど女性はいろいろ考えています。

 でも男性は昔のまんま。社会が変わっているのに昔のままだから歪みが大きく、男はつらいよになっている。自殺率も高いです。そんな状況に男性の側から声をあげたくて、「『エシカル男子の会』をつくる会」を立ち上げました。消費、働き方、セクシュアリティについて、「新しい男性のあり方」を声高にではなく発信していきたいと活動しています。

 "ライスワーク"としている人事関連の仕事ともリンクさせたいので、特に働き方の変化は促していきたい。人の働き方は多様化しているのに、企業の働かせ方は硬直していると思うので、そこを変えたいと思っています。
「働く」と「働かせる」のフェアトレードが、目標です。


プロフィール:
稲葉 哲治(いなば てつじ)
Facebook :https://www.facebook.com/tetsuji178
Twitter : https://twitter.com/InabaTetsuji
「『エシカル男子の会』をつくる会」:https://www.facebook.com/ethicaldanshi
EDAYA:http://edaya-arts.com/

(関連記事)
「エシカル」と「男子」 その可能性は?
http://alternas.jp/work/ethical_work/56140
「プロボノ」説明会、「社会性のある働き方」に大学生が共感
http://alternas.jp/work/ethical_work/57043

「私を成長させてくれた"小さなギャップの積み重ね"」
橋本さん.jpg

橋本裕保
青年海外協力隊 平成25年度2次隊コミュニティ開発 マラウイ派遣

『中学2年の冬からピアノを習い始める』、
『高校から野球を始める』、
『第一希望で就職した会社を辞める』。

 これまでの私の人生では何度か、いわゆる『常識』とは少しズレた決断をしてきました。
皆さんには、このような小さなギャップを経験したことはありますでしょうか?
私がなぜそんな決断をしてきたのかを振り返りつつ、この"小さなギャップ"をテーマにメッセージを送らせていただきます。


「私が大学4年目にしてギャップイヤーを取得した理由」上智.jpg

堀 慎太郎 Shintaro Hori
(上智大学外国語学部英語学科4年)


私は大学4年次を休学してタイのバンコクにある人材紹介会社で10ヶ月のインターンシップをしていました。何故私が休学してインターンシップに参加したのか紹介していきます 。少しでも皆さんの挑戦の一歩への後押しになれば良いと思います。

社会に出る前に大学に入学したきっかけを振り返る。

 私が休学を決意したのは大学3年の夏です。就職活動をしていて、夏の国内インターンシップに参加する予定でしたが、それを全て断ることからスタートしました。頭がおかしくなったかと驚いている友人もいましたが、私にはどうしても海外で長期間勉強をしてみたい欲求を諦めることができませんでした。

 私の通う上智大学の英語学科では、クラスの半分以上が留学をして国際感覚を養っていました。私も入学当初は留学するつもりでいましたが、課外活動に夢中で勉強が疎かになってしまい、成績は悪く交換留学は叶いませんでした。それでも当時はビジネスに興味を持ち、早く社会に出て働きたいと思っていたので留学のことは気にしませんでした。

 しかし、夏休み前。正にこれからアメリカの大学に留学しようとする友人とご飯にいったときに、目を輝かせながらアメリカ留学の話をする友人をみていると私の大学入学当初の欲求がだんだんと再び芽生えていきました。

「俺も外にでてみたい」

話が終わる頃にはお酒も進み、少し酔っていた私は勢いに任せ

「俺も海外に行く!」

こう宣言したのでした。

こうして、私のギャップイヤーの一歩が始まりました。


貯金0からの選択肢:「海外インターンシップ」
 宣言したものの、貯金がほぼ0に近く今からアルバイトしても留学は無理でした。しかし、みんなと同じ留学をするよりも実用的な英語を使いながら働く経験をしてみたいと思い選んだのが「海外インターンシップ」でした。英語を使いながらお金を稼ぐ。お金がない私にはベストの選択肢でした。

 海外でビジネスをするなら、今後も伸びる可能性があるアジアで働いてみたかったですが宗教にあまり縛られたくなかったのでタイに決めました。また、私は大学で「国際労働」をテーマに勉強していたため、自分の研究にも生かせるだろうと思い、最終的にタイの人材紹介会社での長期インターンシップをすることになりました。


色濃く、目まぐるしく過ぎた10ヶ月
 タイにいた10ヶ月は本当に勉強の連続でした。初めての長期海外滞在でしたので不慣れなことばかり。最初は英語のコミュニケーションすらままならず、苦労の連続でした。生活も初めての一人暮らし。アパートの大家さんとのやり取りも一苦労。今思い返すといい思い出です。
 
 インターンも毎日が刺激的でした。タイは国際都市でとても発展しておりビジネスの環境としても最適です。新規で進出してくる日系企業もたくさんあり、毎週のように問い合わせがきていました。アジアは本当に活気あふれているなと肌で感じました。
 私自身もビジネスマンとして大きく成長することができたと思います。私のインターン先は日本人とタイ人だけでなく欧米人もいる多国籍企業でした。会議ではお互い母国語ではない英語を使いながら議論をしっかりとしている様子を見ながら、グローバルで働く最前線を体感しました。また先輩の社員さんには入社初日から営業に同行させて頂いたりして、営業の基本を丁寧に指導してくれ、インターンシップが終わる頃にはクライアントも数十社、売り上げも数百万円出すことができました。


ギャップイヤーはノーリスク、ハイリターン
1年間のギャップイヤーは私に多くのことをもたらしてくれました。インターン先で10ヶ月間だけでしたが、私を受け入れてくれた先輩方や同僚の方のつながりは、スキルだけではなく人間的に大きく成長できました。

また、タイにいる間に多くの日本人にお会いすることができて、海外で働く日本人の様々な人生を見ることができ、人生観というのが変化したと思います。日本は非常に縛られた固定概念の中で生きていたと実感し、自分のこれからのキャリア選択に大きな影響をもたらせてくれたのは間違いありません。これらの財産は目に見えず直ぐには実感しないと思いますが、ふとしたときに役立つ時が来るに違いありません。

 ギャップイヤーを経験して初めて自分も感じましたが、ギャップイヤーはノーリスクです。それだけでなくハイリターンです。この経験は確実に将来生きます。ただギャップイヤーを利用することは目的ではなく手段ですので、必要に感じた人は迷わずにすることをお勧めします。


帰国、そして次のステージへ
 私はタイでの経験やこれまでの経験を生かして、株式会社マイナビの提供している高校生や大学生のキャリア支援プロジェクト、My Future Campus(http://mycampus.jp)にインターン生として参加しています。ギャップイヤーのススメももちろんですが、社会人として人間として成長できる環境を創っています。これからも私自身まだまだ成長していくとともに、次の世代にしっかりと伝えていきたいと思います。

それでは!
上智2.jpg

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イベントのお知らせ

Alliance game
概要:
グループ同士がここで競い合うのではなく、条件があうグループと交渉して提携を結び、ゲームを有利に進めるワークショップです。
各グループごとに異なる持ち味設定の中、戦略を立てて別グループと組みながらあるテーマに基づいたビジネスを検討してもらいます。どのグループと交渉してどのグループと組むのか。お互いの強みを最大限活かせるプランを練りましょう!
開催日時:2015年2月15日(日) 13:00〜16:30
開催場所:マイナビルーム(東京メトロ東西線「竹橋」駅直通パレスサイドビル)
参加対象:大学1〜3年生
【webサイトからの予約はこちら】http://mycampus.jp/openclass/alliancegame/

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プロフィール:
堀 慎太郎 Shintaro Hori
上智大学 外国語学部英語学科 4年
Twitter:@Shintaro_Hori

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